自分のプラスが、誰かにとってのプラスに繋がる
僕は手足を切断した当初「誰にも体を見せたくない」と思っていました。自分が一番自分を受け入れられていませんでした。でもこの体を受け入れて、自分からけがのことを伝えたら、変わらず接してくれたり、支えてくれたりする友達ばかりでした。それで救われて前を向くことができました。人生に絶望していた中で今日までこうやって歩んでこられたのは、家族や友人、多くの人たちが支えてくれたおかげだったんです。
入院生活は1人の時間も長かったので、気持ちの浮き沈みが結構ありました。頑張ろうと思っても次の日には塞ぎ込んでしまう。モチベーションの変化は1人ではコントロールできないことが多かったです。だから、ななこさんが一歩踏み出すことができて良かったと思うし、微力ながらそのきっかけになれて僕自身も嬉しく思います。「何かあったらいつでも連絡して」と言ったのは、身近な存在だと思ってほしかったからです。
ななこさんは両足を切断して本当に落ち込んでいたそうでした。2人で撮った写真を僕がインスタグラムに投稿したら、彼女のお母さんが「千紘さんに会えるとわかって本当に喜んでいました。娘の最近で一番良い笑顔です」と言ってくれました。本当に嬉しかったし、これからも誰かに勇気を与えられる存在になりたいと思いました。
僕は手足を3本失ったけど、命を助けられました。そんな僕の人生が誰かのためになることに生きがいを感じます。失ったものは大きいけど、全てをマイナスには捉えていません。前を向いて歩めばプラスを生み出せる。そのプラスが、また誰かにとってのプラスに繋がる。そうやってプラスの連鎖が起きると信じています。
(構成:J-CASTニュース編集部 青木正典)