動物病院が投稿を許可していれば良いのか?
一方で、「動物病院がSNSに投稿することを容認していればよいのでは?」といった声もある。
菖蒲谷さんはこうした声に理解を示しながらも、「SNSの投稿を目的とした撮影、特に動物が不安や恐怖などを感じているデリケートな写真や動画の拡散は慎んでいただきたい」と訴える。
菖蒲谷さんが院長を勤めるまるペットクリニックでは、飼い主による撮影自体は禁じていない。菖蒲谷さんによれば、19年と20年に獣医師専用のコミュニティサイト「Vetpeer(ベットピア)」で実施された意識調査でも、多くの獣医師が院内撮影を容認していたという。しかし、次のようにも訴える。
「ただ、撮影に夢中になるあまり、診察台の上の動物から手を放してしまい、落下して骨折などのリスクがありますし、獣医師が重要なことを説明していても全く頭に入っていないこともあります。
説明自体を撮影や録音される方もいらっしゃいますが、その行為自体が目的となり、実際には頭に入っていなかったり、聞き返していたかったりする方も多くおられます」
そのため菖蒲谷さんは、撮影によって動物の扱いや獣医師からの説明への理解が疎かになりそうな状況であれば、撮影を控えるよう呼びかけることがあるとしている。
また撮影した動画をSNSへの投稿にすることについては、否定的なところが多いという。
「先の意識調査では43%の動物病院がSNSへの投稿に否定的でした。
断ると『やましいことがあるのか?』と勘繰られることや、『悪い口コミを書かれるかもしれない』という不安から仕方なく許可している場合もあると思うので、投稿内容については十分な配慮が必要だと考えています」