「重曹とクエン酸は混ぜて使うべし！」「『重曹＋クエン酸』ならもっと万能に！」「二酸化炭素の泡が発生して双方（水あか、油）の汚れが落ちやすくなります」
掃除のコツを学ぶためインターネットで調べると、複数の情報サイトでこのような記述が見つかる。重曹とクエン酸の組み合わせが、自然由来の「ナチュラル（オーガニック）洗剤」として人気を集めているが、関係企業は注意を促す。
-
第一石鹼のツイッターより -
「雑誌で見て一生懸命やってた...」
1953年創業の洗剤メーカー「第一石鹸」（群馬県邑楽郡）は11月29日の「いいにくいことをいう日」に、「重曹とクエン酸を混ぜると勢いよく泡が立ちますが、中和しちゃうので汚れはあまり落ちません」とツイートした。
アルカリ性の重曹と酸性のクエン酸に水を加えて混ぜると、中和反応で二酸化炭素の泡が発生する。しかし、この泡自体に汚れを落とす効果はなく、互いの洗浄効果を打ち消し合ってしまうという。
投稿は1万以上リツイートされ、「雑誌で紹介されていたから一生懸命やってた」「これで加湿器の掃除した気になってたのでショックだ...」と目からうろこが落ち人は少なくなかった。
第一石鹸のツイッター担当者は12月14日、J-CASTニュースの取材に、誤解が広がった要因を「さまざまな泡をコンセプトにしている商品が普及している中、研磨やブラッシング等で物理的に汚れを落せることや異なる液性・界面活性の働きで化学的に作用することの違いについて、正しく伝わっていないのでは？と推察します」と答えた。
単独使いのポイントは？向き、不向きは？
配合の割合を変えるなどしても「単独使用時よりも効果がよくなることが現時点で見当たりません」との見解だ。排水口のヌメリ・ニオイ取りは例外で、重曹、クエン酸の投入タイミングをずらす「時間差攻撃」は推奨している。
具体的にはカップ1杯の重曹を排水口に振り入れ、15分以上放置する。汚れがひどい場合にはクエン酸をカップ1/2杯加え、お湯を注いでふたたび15分以上放置する。その後お湯で洗い流す。
単独で使う際のポイントはどうか。重曹のみであれば、鍋の焦げつきや茶シブなどの洗浄、カーペットやゴミ箱などの消臭に役立つ。クエン酸なら水アカ落としニオイ予防に強いという。自然由来の過炭酸ナトリウムやセスキ炭酸ソーダも掃除に活用でき、それぞれに長短がある。
同社ウェブサイト（https://daiichisekken.co.jp/howto/nc/）では、使い分けチャートや目的別の掃除方法を紹介している。