背景に「モノを言えない企業風土」
調査委は一連の問題の原因の一つに、鴇田氏に「モノを言えない企業風土」を挙げる。
鴇田氏の前任者はいわゆる「ワンマン社長」として知られ、約30年にわたって絶対的な存在だったという。その名残から「社長の指示には従うべきである」「社長の意向を汲んで行動すべきである」という意識が浸透し、トップにモノを言えない社内風土があったと分析する。
報告書によれば、鴇田氏は役員人事や報酬決定に大きな影響力を持ち、「(役員の中には)意見を言うことは困難であると感じる者が一定程度存在」した。自身の定年を例外的に延長し、2021年度の役員賞与は鴇田氏が1億2000万(子会社取締役としての賞与も含む)に対し、ほかの取締役は0円から2000万円だった。
混浴についても、ガバナンス(企業統治)不全が背景にあるとする。一部の役員は問題意識を以前から持っていたものの、指摘しても鴇田氏の言動に変わりはないばかりか、自らの失職につながるとして静観していたケースも明らかになっている。調査委は「(役員の鴇田氏への)牽制は不十分であったといわざるを得ない」と非難した。
TOKAI HDは報告書を踏まえ、年内を目途に再発防止策を公表する。