想定外のコロナでシャンプーなどの使用期限が迫っています――。2020年夏に開業した沖縄県石垣島のリゾートホテル「THIRD石垣島」公式ツイッターが、大量に余った備品を廃棄せずにフォロワーに提供したいと呼びかけると、SNS上で大きな話題になった。
無料提供に至った経緯について、THIRD石垣島を運営するスターリゾート(沖縄県石垣市)に詳しい話を聞いた。
「沖縄の地元企業さまの首里石鹸を破棄にしたくない」
THIRD石垣島は、「日本最南端のサードプレイス」をコンセプトにしており、20代から30代のミレニアル世代向けにデザインされたリゾートホテルだ。
話題の発端は、THIRD石垣島が2022年12月10日に投稿したツイートだ。ホテルで使用しているシャンプーなどの備品が、コロナの影響で約650リットル余っており、使用期限が翌年3月31日にせまっていると伝えた。投稿には、カメラの画角からもはみ出すほどに積まれた段ボールの写真が添付されていた。
同じ投稿で、ホテルは「すてきな香りのする沖縄の地元企業さまの首里石鹸を破棄にしたくない」と続け、「フォロワーさまの中でもらっていただける方いらっしゃいませんか?」と呼びかけた。
無料配布に参加するには、投稿にいいねかリツイートをした上で、ホテルの公式アカウントをフォローする必要がある。期間は12月13日までで、その後に当選者が抽選で選ばれるという形だった。
投稿は14日18時までに約10万件以上のリツイートや15万6000件以上のいいねを集め、「素敵ですね。ぜひ私も頂きたいです」などの首里石鹸を欲しがる声が多く寄せられた。
ホテルが使っている「SuiSavon 首里石鹸」を販売するコーカス(沖縄県那覇市)の公式サイトによれば、首里石鹸は「沖縄の植物や果物をベースに、香りや色、原料にとことん沖縄らしさを追求した沖縄発のスキンケアブランド」だ。
ホテルは当初、10リットルという大容量でシャンプー・コンディショナー・ハンドソープを配布する予定だったが、投稿が想定よりも上回って広がったため、300ミリリットルのボトルで配布すると変更した。
こうした大きな反響について、スターリゾートは14日、「廃棄しないで良くなったことについては非常に嬉しく思っています。また、弊社のことを気にかけてくれる方も非常に多く、みなさまの優しさがとても嬉しかったです」とJ-CASTニュースの取材に答えた。
ツイッターのフォロワー数が約10倍に
今回の投稿で配布する備品は、合計650リットルほど余ったシャンプー・コンディショナー・ボディーソープ・フェイス&ハンドソープだ。
2020年7月31日にオープンしたTHIRD石垣島は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、20年4月のオープンを延期したのだという。スターリゾートは「開業延期で使わなかった期間があったこととコロナ禍が続いたため、当初予定していたよりも多く余ってしまった」と状況を説明した。
23年3月31日までの使用期限から、ホテルのアメニティとして使い切ることが難しい状況だったという。また、例えば配布するとしても、包装作業などの対応をする必要があるため、同社は「コストだけの面を見ればこのまま廃棄する方が良い決断だったかもしれません」と述べた。
しかしこうしたコストを考慮しても、(1)できるだけ環境に配慮したホテル作りを目指している(2)同じ沖縄に拠点を置く企業が想いをもって作った商品である(3)滞在するゲストからも「香りがいい」などの評判がある商品である――という点から、同社は「コストのことだけを見て廃棄するのではなく、使っていただける方にお配りした方が良い」と考えた。
今回の大きな反響を受け、同社は「予約が急激に伸びたということはありませんが、これをきっかけに予約をしていただいた方もなかにはいる」と明かす。また、ツイッターのフォロワーが、投稿前の約1万2000人から、12月14日19時までに約11万7000人増えて10倍ほど増加したという。
同社は、今後の方針について「ここまで広がることは全くの想定外でした。これをきっかけにTHIRD石垣島を知っていただいた皆様にも来てご満足いただけるようなホテルづくりを頑張って行きたい」としている。