プロボクシングの元WBA世界ライトフライ級スーパー王者・京口紘人(ワタナベ、29)が2022年12月13日にユーチューブチャンネルを更新し、同日に東京・有明アリーナで行われた世界バンタム級4団体王座統一戦を解説した。
「完全に1ラウンド目から飲み込んでいた」
試合は世界バンタム級3団体(WBA・WBC・IBF)統一王者・井上尚弥(大橋、29)がWBO世界バンタム級王者ポール・バトラー(英国、34)を11回KOで下し、日本人選手初、アジア初となる世界主要4団体の王座を統一した。
井上は序盤からバトラーにプレッシャーをかけ主導権を握った。対するバトラーは井上の強打を警戒しフットワークを駆使した戦法を取った。井上はディフェンシブなバトラーを崩そうとフェイントを駆使し、ノーガードで誘うシーンも見られた。
ダウンを奪えないまま迎えた11回。このまま判定まで持ち込まれるかと思われたが、井上の強打が火を噴いた。強烈なボディーを打ち込みバトラーの心を折ると、怒涛の連打でKO勝ち。バンタム級王座を全てKO勝利で手にし、デビューからの連勝を「24(21KO)」に伸ばした。
京口は「今回はWBOのチャンピオンだったバトラーがどういう戦い方をするか。恐らくこうだろうなという通りで守りを重視した戦い方だった」と振り返り、独自の視点で試合を分析した。
「1ラウンド目始まってすぐ井上尚弥が大きく構えて無駄な動きが一切ないという。その中でバトラーもガードを高く上げて色々とフェイントを入れたり、足でフェイントをするけど井上はどっしり構えて動かない。打ってくるパンチにだけ反応してすぐに返す。完全に1ラウンド目から飲み込んでいた。バトラーも面食らっていた。スピード、パンチすべて(井上が)上回っていた」
「相手も世界チャンピオンなのにそう見えなかった」
終始攻勢に出てKOのチャンスをうかがっていた井上を「(バトラーと)同じ空間にいても別の次元にいた」と評し、「レッスンを施しているみたいな」と解説した。
そして「相手も世界チャンピオンなのにそう見えなかった。試合後の顔を見た時に無傷という。ノーダメージ。圧巻だったね。スイッチしたりノーガードしたりとか世界戦のリングでよくこんな動きができるなというオンパレードだったね」と感嘆の声を上げた。
京口は井上と同学年でアマチュア時代から共に世界の貯点を目指してきた。大学に進学したためプロデビューは井上よりも4年遅いが、17年12月にIBF世界ミニマム級王座を獲得。18年12月にはWBA世界ライトフライ級スーパー王座を獲得して世界2階級を制覇した。今年11月にWBA・WBC世界ライトフライ級王座統一戦に敗れ無冠となった。
京口は「今回は色んな井上尚弥が見れた」と振り返り、「漫画だからこそ描けることをやっているから漫画を超えてるよね」と素直に感心した。そして「毎回(井上の試合を)見て俺も頑張らなくちゃと思うけど、今回はケツを叩かれたどころじゃないよね。ケツを蹴られたよね」と王座返り咲きに向けて意気込んだ。