JRA(日本中央競馬会)は2022年12月12日、レース動画の無料生配信を始めると発表した。
競馬ファンからは「遂に動いた!」と歓迎の声が相次いでいる。有料配信をしながらなぜ思い切った決断ができたのか、JRAに聞いた。
グリーンチャンネルと「違ったニーズのお客様がターゲット」
JRAは23年3月25日から、ホームページで全レースを生配信する。視聴料は無料で、会員登録の必要もない。スマートフォン、タブレット、パソコンに対応する。配信の画質は1Mbps(メガビーピーエス)程度を予定し、数十秒の遅延を見込む。
発表を受け、SNSでは競馬ファンから「JRAが遂に動いた!ナイス英断!」「地方競馬では導入済だったが、遂に...な大ニュース」「競馬人口を増やすと言う観点ではこれは大正解」「グリーンチャンネルあるからそこまでやらんと思ってた」と歓迎の声が広がった。
競艇、競輪、オートレースと、公営競技ではいずれも無料の公式生配信を実施している。JRAも中央競馬全レースをライブ配信するサービス「グリーンチャンネル」を用意しているが、月額550円からと有料だった。
JRA報道室は13日、J-CASTニュースの取材に「かつてと比べ、特にコロナ禍では電話(・インターネット)投票の会員数がものすごく増えまして、ネット上で競馬を楽しんでいただけるお客様がどんどん増えている状況です。加えて、ネット環境がとても発達してきて配信のストレスに耐えうる環境が十分整ってきました」と無料化に踏み切った背景を話す。
東京商工リサーチの調査によれば、JRAの電話・インターネット投票会員数は2019年に約447万人だったが、21年には560万人と巣ごもり需要で急伸した。
グリーンチャンネルの21 年 12 月末の加入件数(テレビ放送含む)も38万6403件と、前年に比べ4万2000件以上増えている。
今回の施策でグリーンチャンネル会員の離脱も想定されるが、無料版はレース映像のみ流す。グリーンチャンネルはパドックや本馬場入場などレース以外の映像も配信し、実況もある。調教情報や予想番組も展開し、ライトなファン層は無料版、コアなファンは有料版という使い分けになりそうだ。報道室担当者は「グリーンチャンネルとは違ったニーズのお客様がターゲットになると思います」と棲み分けを期待した。
海外のレースは対象外だが、「権利関係がクリアになれば」と将来の可能性に言及している。
23年2月25日~3月19日にテスト配信し、アクセス負荷などを検証したうえで3月25日から本格運用する。