日本航空(JAL)傘下の中長距離格安航空会社(LCC)、ZIPAIR(ジップエア)が2022年12月12日、成田-サンノゼ線を開設した。ZIPAIRにとっては6路線目で、西田真吾社長は23年に開設する新規路線について「できれば3都市いきたい」と述べた。
ZIPAIR は21年12月、LCCとしては初めて太平洋を越える成田-ロサンゼルス線を開設。西田氏によると、利用者に多いのが20~30代の「MZ世代」だ。これまでフルサービスキャリア(FSC)と呼ばれる既存の航空会社のみが運航していた路線にLCCが参入し、これらの世代でも低価格で移動できる選択肢を提供することが「我々の存在意義」。飛行機が増えるペースに合わせて、便数や就航都市を増やしていきたい考えだ。
水際対策緩和で「潮目」変化、利用者の7割が「日本人以外のパスポート」
サンノゼはシリコンバレーの中心都市で、サンフランシスコにも近い。今回のサンノゼ線は、米本土路線としては2路線目だ。西田氏によると、これらのベイエリアに住む人がロサンゼルスまで移動してZIPAIRを利用するケースもあったといい、サンノゼ線は
「ベイエリアにお住まいの日系、あるいはアジア系の皆さんの需要がベースとしてある、という実感を持っている」
とみている。さらに、コロナ禍では日本人客による利用が多かったが、22年10月に水際対策が緩和されてから「潮目が変わった」。インバウンド(訪日客)による利用が増え、現時点では7割が「日本人以外のパスポート」だ。年末年始は、どの路線も満席に近い状態の予約が入っているとしている。
ZIPAIRは現時点で4機を運航し、22年中に5機目が納入される見通し。「25年までに10機体制」を目指す。西田氏は、新規就航地について「アジアと北米西海岸で25年までに、あと数拠点ずつ増やしていく」と説明。23年は「できれば3都市いきたい」とも話した。「アジア-日本-北米」の乗り継ぎ需要も取り込みたい考えだ。J-CASTニュースの22年8月掲載のインタビューでは、7路線目として台北(桃園)線を計画していることを明らかにしていたが、今回は
「長く準備に時間がかかっているが、まだ認可が取れている状態ではない。手続きを1歩1歩進めていこうと思う。魯肉飯を早く食べに行きたいと思っているんですけど...」
などと述べるにとどめた。
搭乗率「往路30%、復路97%」の理由
サンノゼ線の初便・ZG30便は、消防車の放水で見送られながら16時頃に出発した。ZIPAIRの飛行機の定員はエコノミークラスにあたる「スタンダード(Standard)」272人、ビジネスクラスにあたる「ジップフルフラット(ZIP Full-Flat)」18人の計290人。これに対して、初便搭乗客は87人(スタンダード70人、フルフラット17人)で、搭乗率は30%だった。ただ、サンノゼから成田に折り返すZG29便には、282人(スタンダード265人、フルフラット17人)が乗り、搭乗率は97%だった。日本側は年末年始の需要が高まる時期まで時間があるのに対して、米国側ではクリスマス休暇のシーズンに入りつつあることが背景にあるとみられる。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)