「いま大丈夫ですか?」――12月の夜、荷物を持たない手ぶらの配達員がやってきた。近くに子供がいないことを確認すると、車に残してきたクリスマスプレゼントを運んできたという。この気配りがまるでサンタクロースのようだと大きな注目を集めている。
J-CASTニュースは、このエピソードを紹介したツイッターユーザーのOggi(@Oggi_Kenkou)さんと配達を担当した佐川急便に取材した。
荷物を頼んだはずが、何も持たない配達員がいた
Oggiさんは2022年12月7日、「手ぶらで玄関に来た佐川の配達員さん」のエピソードを紹介した。子供に気づかれないようプレゼントを届けに来たことに、「あなたがサンタだったか...」と感銘を受けたという。取材に対しOggiさんは、次のように経緯を振り返る。
19時ごろ、玄関のインターホンが鳴った。周囲が暗かったため相手の様子はよく見えなかったが、通販サイトでの注文に心当たりのあったOggiさんは、佐川急便の配達員であることを確認して玄関に出た。
しかし扉を開くと、何も持っていない配達員がいた。別の要件かと訝しんでいると、配達員は小声で次のように尋ねてきた。
「荷物はおもちゃなんですけど梱包が透けてて。時期的にアレですよね。お子さんに見つかったらまずいと思って。いま大丈夫ですか?」
Oggiさんが注文していたのは、小学校低学年の子供のためのクリスマスプレゼントだった。中身が見える状態で送られてきたため、配達員は近くに子供がいないか気にしていた。Oggiさんが「大丈夫」と答えると、配達員は急いで車から荷物を運び出し、こっそりと受け渡してくれたという。
このエピソードにツイッターでは「こころがあったかくなるお話」「なんて素敵な配達員さん」などと称賛する声が寄せられ、紹介する投稿には5万8000件のリツイート、44万8000件を超える「いいね」が寄せられた。
佐川急便「お客さまの立場になって配達することが最も重要」
Oggiさんによれば、荷物の中身は子供が大好きなキャラクターのおもちゃ。大きなパッケージだったため配送用の外箱がなく、透明なエアパッキンで梱包されていたそうだ。Oggiさんは、配達員の気遣いを次のように受け止め、深く感謝している。
「『これぞプロフェッショナルの気配りだ...』と感動しました。また、決して子供に気づかれずプレゼントを運ぶあたりにサンタらしさを感じました。」
そのうえで「佐川サンタさんはもちろん、それ以外にもプレゼントに関わった製造や卸、流通、販売などすべてのサンタの思いを結実できるよう親サンタとして頑張ります」と、クリスマスに向けて意気込む。
取材に対し、佐川急便は12月3日、Oggiさんに荷物を届けた配達員は特定できていないとしながらも、今回のエピソードを次のように受け止めた。
「荷受人様に喜んで頂いたことは大変うれしく思っております。これからもお客さまのご期待に添えるよう社員全員で一丸となって精進してまいります」
同社によれば、師走のこの時期は客も多忙になるとして、「お客さまの立場になって配達することが最も重要」だと社内報や社内教育で呼びかけている。
利用者に対しては、クリスマス前後は物量が増加し、万全の体制で挑んでいるものの配達に遅れが出る可能性があるとして、余裕を持った発送を行うよう呼びかけた。
(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)