日本一オリックス悩ます「バッファローズ」誤読問題 間違い正す「バファローズ警察」出動も...球団の思いは

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   今季、プロ野球で26年ぶりの日本一を成し遂げたオリックス・バファローズ。そんなチームには、長年解決できていない課題がある。球団名の「バファローズ」を「バッファローズ」と呼び間違えてしまう人が後を絶たないことだ。

   前身の近鉄時代から始まり、オリックスとの合併後の今も続発するミス。かつては大手紙にさえ間違えられたケースもあり、近年では間違いを正す「バファローズ警察」も登場している。よく間違えられることを、球団はどう思っているのか。

  • オリックスが販売した「バッファローズちゃうねん!」と書かれたフェイスタオル。呼び間違えられるケースは後を絶たない(球団提供)
    オリックスが販売した「バッファローズちゃうねん!」と書かれたフェイスタオル。呼び間違えられるケースは後を絶たない(球団提供)
  • オリックスが販売した「バッファローズちゃうねん!」と書かれたフェイスタオル。呼び間違えられるケースは後を絶たない(球団提供)

60年前から「バファローズ」のまま

   「絶対やったらあかんやろ!笑」――。2022年9月13日、こんな声が寄せられたのは、同じ関西を本拠地とする阪神タイガースの公式ツイッターだ。今季限りで引退した糸井嘉男さんが、自身が在籍した球団のファンへ感謝のメッセージを告げるという投稿の中で、オリックスの球団名を「#オリックスバッファローズ」と誤ってタグ付け。これにファンから指摘が相次ぎ、阪神は「大変失礼いたしました。お詫びと訂正いたします」と謝罪した。

   さらに10月31日、オリックスが26年ぶりの日本一を達成した際は、大阪市の複合施設「あべのハルカス」の公式ツイッターが「オリックス・バッファローズが日本一に おめでとうございます」と祝福。同施設はかつてオリックスの前身・大阪近鉄バファローズを保有していた近鉄グループの運営だけに、「近鉄グループでも『ッ』入るのか...」などの指摘が寄せられた。最終的には担当者の「打ち間違い」だったとして、訂正された。

   「バファローズ」は前身球団の近鉄時代から、60年間使われ続けているチーム名だ。近鉄球団の歴史をつづった書籍「近鉄バファローズの時代」(著:大阪バファローズ研究会、イースト・プレス刊)によると、1959年に巨人OBの千葉茂氏がチームの監督に就任したのに合わせ、チーム名を「近鉄パールス」から千葉氏の愛称「猛牛」にちなんだ「近鉄バファロー」に変更。62年に複数形の「近鉄バファローズ」となった。

   その後99年に「大阪近鉄バファローズ」、05年にオリックスと合併し「オリックス・バファローズ」となっても、バファローズの名前は続いた。しかし、記事データベース「日経テレコン」を調べると、近鉄時代の80年代には日本経済新聞が球団名を「バッファローズ」と誤って記載していた例が複数ヒット。合併問題に揺れていた04年にも「バッファローズ」と誤記したスポーツ紙があった。

間違い正す「バファローズ警察」出動

   そして近年は「バファローズ警察」と呼ばれるネット上のファンたちが、熱心に呼び間違いを正していることが知られている。11月18日、そんな「警察」が出動したのは、NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」のワンシーンだった。

   主人公の舞(福原遥さん)の幼馴染・梅津貴司(赤楚衛二さん)の父(山口智充さん)は、東大阪でお好み焼きを営む熱狂的な近鉄ファン。11月18日の放送では、仕事で悩みを抱えた息子に父が寄り添うというシーンがあったが、そのときの山口さんのセリフが次のようなものだった。

「お前と"バッファローズ"はいつまでも俺の希望の星やで」

   このときの字幕は「バファローズ」だったが、発音は「バッファローズ」だったとして、ツイッター上のバファローズ警察の間で「グッさんがバッファローズって言ったな!」「バッファローズちゃうねん バファローズやで!」と指摘が相次いだ。

   さらに11月26日、西武からFA移籍した森友哉選手の入団会見が開かれると、またしても警察がざわついた。ファンに向けてメッセージを求められた際、森選手は「来季からオリックス"バッファローズ"に移籍することになりました、森友哉です」と回答。このとき、会見の生配信を行っていた球団公式YouTubeのチャット欄には「ピピーバファローズ警察です」「バッファローズ言うてますやん」「バッファローズちゃうねん」などと、続々と駆け付ける警官たちの姿があった。

なぜ間違う?英語の専門家の見解は

   一体なぜ、人々は「バファローズ」を「バッファローズ」と呼んでしまうのか。著書「英語学習のつまずき 50の処方箋」(ディスカヴァー21)など、英語学習が苦手な人向けの本を多数出版している「イングリッシュ・ドクター」の西澤ロイ氏は11月28日、J-CASTニュースの取材に「間違えられてしまうのは致し方ないこと」との見解を示す。

「英語には『ば』と『ばっ』という音の区別がそもそも存在しません。そのため、Buffaloesをカタカナにする時に『っ』をつけるかどうかは個人の感性や好みの問題になってしまいやすいのです。これは、日本語で『促音』と呼ばれる小さい『っ』の音が、英語には存在しないためです」

   球団名を英語の「Buffaloes」で読もうとする際、「バッファローズ」と「バファローズ」の2つの読み方が成立する。このことが、多くの人の間で球団名の呼び間違いを生む原因になっていると分析する。

   「バッファローズ」と頻繁に間違われることを、球団はどう思っているのだろうか。12月5日、オリックス・バファローズの広報担当者に取材すると、こんな答えが返ってきた。

「いたしかたないと思っております。オリックス・バファローズを好きになっていただく過程で覚えていただければ何の問題もございません」

   球団は「間違えられている」ことを逆手に取り、過去に「バッファローズちゃうねん!」と書かれたフェイスタオルを製作。今季販売した分は、完売するなど好評だったという。

   バファローズはあくまで「バファローズ」である。

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