コロナ禍で制約されてきたAKB48の活動も、少しずつ「コロナ前」に近づきつつある。そんな中で、コロナ禍で「チャンスをもらった側」のメンバーのひとりが谷口めぐさん(24)だ。
2013年にオーディションに合格した谷口さんは、AKB48が1年半ぶりに出した楽曲「根も葉もRumor」(21年)で初めて選抜メンバーに選ばれ、メディア露出が増えたことでファンも増えた。22年11月16日に初の写真集「可愛さの理由」(KADOKAWA)を発売。22年夏に3泊4日にわたって撮影し、「自然体で健康的な自分」を詰め込んだ。写真集への思いや、今後の活動に向けた意気込みを11月18日に聞いた。(聞き手・構成:J-CASTニュース編集部 工藤博司)
多士済々の15期、現役で写真集出版は初めて
―― 谷口さんはAKB48の15期生で、同期にはグループ総監督の向井地美音さん(24)やチームK前キャプテンの込山榛香さん(24)など多士済々です。そんな中でも、現役の15期生で写真集を出したのは谷口さんが初めてです。
谷口: 予想外でした!私がAKB48にいる中で写真集を出すことは全く想像したことがなくて、グラビアのお仕事も、自信をもってできるタイプの方ではありませんでした。写真集も出さないまま卒業するんだろうなと思っていたら、こうしてお話をいただけたので、本当にびっくりしましたし、うれしかったです。写真集はずっと残るものなので、今の自分を形に残せたのはうれしいですね。
―― まず目を引くのがタイトルの「可愛さの理由」。「わけ」と読みます。いくつかある候補から谷口さんが選んだそうですね。
谷口: そうですね...「自分で自分のことを可愛いって思ってるの?」みたいに思われたくはないのですが(笑)...、一番ピンときた、輝いて見えたタイトルだったので、直感で選ばせていただきました。
―― 帯に総合プロデューサーの秋元康氏が寄せたメッセージでは、「誰かを好きになった時に、その理由を上手に説明できないように、谷口めぐの可愛さの理由を上手に説明するのは難しい」とあります。谷口さんのミステリアスさが凝縮されたタイトル、とも言えそうです。
谷口: 秋元先生がこうしてタイトルを書いてくださるなんて、すごく恵まれていると思いますし、うれしいですね。可愛いと思ってくれてるのかな?と思っていいのか分からないのですが、やっぱりうれしいです。
撮影地を変えてでも撮りたかった「草原ではしゃぐプリンセスの子ども」
谷口さんお気に入りのカット。「海外のプリンセスに憧れる少女のようなカット」を撮りたかったという (C)KADOKAWA (C) A.M.Entertainment PHOTO/TANAKA TOMOHISA
―― 11月17日の動画配信サービス「SHOWROOM」の配信では、写真集への要望について「めっちゃ言いました。嫌われるかと思ったけど、言ってよかった」と話していました。どういった提案をして、「この提案は通ってよかった」といったことがあれば教えてください。
谷口: 大地の、草原のカットです。企画段階で「どこで撮りたいですか?」と聞かれた時に、「広大な草原の中に白いドレスを着て動き回って、海外の少女のような感じ」のカットを撮りたいとお願いしました。写真集は7月末に、房総半島で3泊4日で撮ったのですが、最初は違う場所が予定されていたのですが、私の願いを叶えるためにスタッフさんがあの場所を探してくださって、房総半島で撮影することになりました。
―― 草原の要素が一番大事だったわけですね。
谷口: 海外のプリンセスに憧れる少女のようなカットをどうしても撮りたくて...。
―― 草原ではしゃいでいる外国のプリンセスではなくて、その「子ども」なんですね。
谷口: 若い時に写真集を出すなら、(プリンセスそのものよりも)もう少し子どもらしさのような要素を入れたい、その方が私の性格に合っているのかな、と思って入れさせていただきました。
―― 他には、どんな要望を出しましたか?
谷口: お風呂のカットです。お花を浮かべるイメージを伝えられていたのですが、「アヒル(のおもちゃ)がいいです!」と言いました。用意してくださったのが予想以上にかわいいアヒルたちで、お気に入りのカットになりました。
―― 10月12日の配信では、「キメキメの『どやっ!』という感じよりは、自然体の私が見られると思います」「『セクシー』『可愛い』よりは『自然体で健康的な自分』」とも話していました。
谷口: 開放的なカットが多いですね。健康的な方が自分らしく見せられると思いました。ナチュラルで爽やか、健康的、といった言葉が似合う写真集を作りたいと思っていました。
―― 水着やランジェリー(下着)のカットもありますが、その中でも「健康的」という点を前面に押し出したわけですね。老若男女、いろいろな層の方がご覧になれますね。
谷口: そうですね、女性ファンの方もきっと喜んでくださる写真集になったと思います。
―― ロケは総じて晴れ模様だったと聞きました。(天気が回復するまでの)「天気待ち」も、全然なかったんですか?
晴れ女の面目躍如で「ちょっと持ってるな!」
谷口: ありませんでした!私の力で晴れたんじゃないかっていうぐらい(笑)。写真集で最初に撮ったのが海のカットです。準備を始めたときは小雨でしたが、「私は晴れ女だから絶対晴れる!」と思っていたら、だんだん晴れてきました。
―― 晴れ女の面目躍如ですね...!
谷口: 初日は3着ほど撮影しましたが、だんだん晴れていきました。最後の浴衣のカットを撮影した夕方にはすっかり晴れていました。いい夕焼けが撮れて、われながら「ちょっと持ってるな!」と思いました(笑)。本当に最高のロケーションで撮れました。
―― 7月末というのも、なかなかいい時期ですね。
谷口: 夏休み!のような感じで、すごく爽やかに仕上がっています。撮影中にスタッフさんが見つけてくださったスポットもあって、洞窟では幻想的なカットも撮ることができました。
―― 非常に健康的なカットが多い写真集ですが、撮影すると言われたのはいつ頃ですか。
谷口: 5月ぐらいです。
貴重なドーナツを我慢して励んだダイエット
―― 撮影の2か月前ぐらいですね。この2か月間、ダイエットなど頑張ったと思います。普段は大好きな差し入れも食べるのを我慢したとか...。
谷口: 「I'm donut ?」という、1時間並ばないと買えないドーナツを差し入れでいただいたことがありました。普段は差し入れを真っ先に取りに行くほど、食べるのに貪欲な人なのですが、取りに行かなかったので、やっぱり(写真集に向けてダイエットしていることを)気付くメンバーもいますよね。(笑) (村山)彩希(ゆいり)ちゃんは結構そういうのに関しては鋭いメンバーなので、何かあるの?と聞かれて、そのタイミングで伝えました。
―― 貴重なドーナツも我慢し、入山杏奈さん(26=21年卒業)に紹介されたジムで頑張ったわけですね。
谷口: ジムは今まで行ったことがなかったので、あんにんさん(入山さん)に紹介していただいて、写真集の撮影が終わってからも継続的に行くようにしています。せっかく引き締めた体型なので元に戻らないように頑張っています。
―― SHOWROOMのコメント欄では、ダイエットに気付いているファンの方も多かったようですね。
谷口: AKB48メール(ファン向けの有料メールサービス)では「今日もトレーニングしてきたよ!」「絶対うれしい報告できるから待っててね!」といったことを書いていました。ファンの方に報告するためにも、食事制限や筋トレに頑張って挑んでいました。
―― もうご家族には見せましたか。
谷口: 見せました!特におばあちゃんは「本当にきれいに撮ってもらってよかったわね。生きててよかった」と言って泣いてくれました。泣いてくれるなんて思ってなかったので、おばあちゃん孝行できてよかったです。養老渓谷で撮影したカットは、母が大絶賛してくれました。爽やかで天気も良くて綺麗、景色も森でワンピース。「なんかジブリにいそうな感じ」と言っていました。
「根も葉もRumor」で「AKB48の中で再度熱が上がった」
―― 写真集を出したことで、谷口さんの活躍の場も広がりそうです。一方で、所属するAKB48の活動は岐路に立っているとも言えそうです。11月16日の配信では、NHK紅白歌合戦と日本レコード大賞落選について「悔しいとか『ごめんね』というよりは、前向きに次を頑張ろう、という気持ち」だと話していました。直近の紅白出場は19年で、直後にコロナ禍に突入しました。この2年間で、活動はどう変化しましたか。配信では
「出戻りの人や、新しく応援してくださる方と出会えたのが、かなり大きい。今のAKB48が少しずつ認めていただけているのかな」
と話していました。「根も葉もRumor」では、初めて選抜入りも果たしました。最近の状況をどう受け止めていますか。
谷口: 「根も葉もRumor」で選抜に選ばれたことがすごく大きいです。この楽曲は、AKB48の中で再度熱が上がった楽曲だと思っています。TikTokでもいろいろな方が踊ってくれたり、SNSでも話題になっていた曲なので、そこで選抜入りできたことはすごくうれしかったです。(立ち位置が)一番後ろの一番端っこだったのですが、ありがたいことに、意外とカメラで抜いてもらえる(アップになる)ポジションで、音楽番組を見て私のことを気になってくださったり、私の推しになってくださった方もたくさんいます。新しいファンの方と出会えたのが、何よりも私にとってはうれしかったことでした。レコ大や紅白に出られないのは悔しいことですが、私の中では、自分のことを応援してくださるファンの方が増えたという、それを超えるうれしいものがあったので、前向きに頑張ろうという気持ちでいます。
―― コロナ禍の影響を含めて、グループのあり方も相当変わったと思います。例えば「根も葉もRumor」以降のAKB48の楽曲には、AKB48のメンバーのみが参加するようになりました。こういった体制の変化をどうみますか。
谷口: 「根も葉もRumor」で選抜メンバーに選んでいただいてから、AKB48の冠番組が2つできたことが大きいです。「AKB48 サヨナラ毛利さん」(日本テレビ)と「AKB48、最近聞いた〜一緒になんかやってみませんか〜」(テレビ東京)です。とくに前者には、よく出演させていただいています。バラエティー番組がAKB48でできる、今のAKB48で冠番組ができることは本当にすごいことです。深夜の30分、本当にありがたいと思います。
―― 少し昔は福岡(HKT48)に指原莉乃さん(30=19年卒業)がいて、大阪(NMB48)に山本彩さん(29=18年卒業)、名古屋(SKE48)に松井珠理奈さん(25=21年卒業)がいて、それで「AKB48の番組」が成り立っていました。それが今では、東京(AKB48)のメンバーだけで番組が成立しているわけで、谷口さんにとってチャンスが広がったようにも見えます。
谷口: そうですね、コロナ禍になってから、逆に私はチャンスをもらった側のメンバーですね。AKB48が単独で活動することになってから、ありがたいことに(選抜メンバーに)選んでいただけたのは、すごくうれしかったです。
今後演じたい役柄は「友達役みたいな普通の女の子」
―― そろそろ年末です。23年は、どんな年にしたいですか。グループや個人として、どんなことをやってみたいですか。目標があれば聞かせてください。
谷口: 何でもきっかけがあれば、新しいことにたくさん挑戦していきたいです。まだまだ挑戦できると思っているので、いろいろなお仕事をしたいですが、将来は女優さんの仕事をしたいと思っています。ドラマや舞台に出られるように頑張りたいです。23年はAKB48の活動に加えて、個人の仕事も充実させていけるような1年にできればいいと思っています。
―― ドラマ「マジムリ学園」(日本テレビ、18年)では、学園を支配する生徒会の一員「ツヴァイ」を演じていました。怖そうな、キレのある感じが印象的でした。そういった感じの演技の経験を積んでいきたいですか。
谷口: はい、でも友達役みたいな普通の女の子の役にも挑戦してみたいですね。(総長役を演じた)「マジすか学園5」(日本テレビ、15年)みたいに、結構怖い、おっかない役が多いので...。
―― SHOWROOMで写真集発売の発表をした時は、卒業発表なのではないかと心配するファンもいました。それは当分なさそうだと理解していいですか。
谷口: まだまだAKB48にいたい、いられるだけいたいという思いもあります。もちろん、やっぱり(卒業を)考えはしますが、まだ「アイドルでいるめぐが好き」と言ってくださる方もいるので、頑張れるだけ頑張ろうと思います。
谷口めぐさん プロフィール
たにぐち・めぐ 1998年生まれ、東京都出身。2013年にAKB48の15期生オーディションに合格し、14年にデビュー。ドラマ「豆腐プロレス」(テレビ朝日)、「マジムリ学園」(日本テレビ)などに出演。20年12月に所属事務所をA.M.Entertainmentに移籍し、21年に「メディウムダイバー」(テレビ埼玉)でドラマ初出演を果たした。AKB48の58枚目のシングル「根も葉もRumor」(21年)で初めて選抜入りした。
スタイリスト/津野真吾(impiger)
ヘアメイク/原島未唯