実質的なポイントは
(4)自然増収は、もっとも真っ当な方法だ。来年度を見れば、円安でGDP増なので、法人税、所得税はかなり増収になる。その後も経済成長すれは、名目成長を4%程度にできれば、その自然増収で防衛費増をかなり賄える。ただし、財務省は成長はあてにならないとこの議論には乗らない。
(5)増税は、最後の手だが、財務省はこれが本命だ。いきなり増税とはせずに、「つなぎ国債」で当面泳いで、特別会計を設置するなどして、増税に結びつけるのが、財務省の得意戦略だ。東日本大震災のときに、復興費用を復興増税に持っていったときのやり方だ。
いずれにしても、実質的に(2)建設国債対象(3)その他収入(埋蔵金)がポイントで、当面これで決着がつけば、(5)増税とは政治的にはならない。
どうも今回は、少額の(3)埋蔵金を当てつつ、5年間はつなぎ赤字国債で泳ぎ、増税議論しないということで落ち着きそうだ。仮にそうだと、財務省は、防衛省要求48兆円から43兆円に減額した上、(2)と(3)を実質的に封じたのだから、サッカーの試合で言えば、財務省の前半1点リードだ。今後5年間の後半戦がどうなるか。
++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣官房参与、元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。20年から内閣官房参与(経済・財政政策担当)。21年に辞職。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「国民はこうして騙される」(徳間書店)、「マスコミと官僚の『無知』と『悪意』」(産経新聞出版)など。