「タイパ」は不透明な言葉!?
大賞に関しては選考委員全員が「タイパ」への選評を述べたが、この中で、「タイパ」のユニークな点は何かと飯間氏に聞かれた小野氏は、学術用語を交えつつ解説した。
小野氏いわく、「タイパ」という言葉は「タイ」から「タイム」を連想することはもちろん、「パ」から「パフォーマンス」を連想することはそれほど簡単ではないと説明。そして、これら「音や文字からの連想しづらさ」を言語学では「不透明性」と言うと明かしつつ、「タイパ」は不透明性が高い単語であると指摘した。
音からは意味を捉えづらい「タイパ」がなぜ世の中で頻繁に使われるようになったかについて、小野氏は「タイパ」よりも前から存在していた「コストパフォーマンス」が「コスパ」と略されたことが前例になり、「パ」が「パフォーマンス」という言葉を想起することを助けていると指摘。その結果、何とか意味をつかむことが出来るため、不透明性が高いにもかかわらず使う人が増えたのではないかと分析した。加え、「パフォーマンス」以外に「パ」だけで意味を持つ略語の例としてはプロ野球の「パシフィック・リーグ」を表わす「パ」が挙げられるとしつつ、「ここまで大胆に略された『パ』は『パシフィック・リーグ』以来かも」と笑顔を見せた。
選考発表会では大賞の「タイパ」以外の入選語についても、カジュアルなトークが展開され、観覧席はその都度笑いに包まれたほか、納得のうなり声が上がるなどした。
(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)