「台湾海峡で軍事紛争あると思うか」中国で過半数、日本で4割超が危惧 日中共同世論調査

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   恒例の「日中共同世論調査」の2022年の結果が11月30日に発表され、「数年以内」または「将来的」に台湾海峡で軍事紛争が起きるとみる人の割合が、日本側で44.5%、中国側で56.7%に達し、両国民ともに危機感を持っていることが明らかになった。

   ただ、日本では中国にその原因があると考える人が6割超なのに対して、中国では過半数が米国に原因があると回答。米中対立を背景に、両国民の認識の違いが浮き彫りになっている。

  • 中国でも「台湾海峡で軍事紛争」を危惧することが多い(写真はイメージ)
    中国でも「台湾海峡で軍事紛争」を危惧することが多い(写真はイメージ)
  • 「数年以内」または「将来的」に台湾海峡で軍事紛争が起きるとみる人の割合が、日本側で44.5%、中国側で56.7%に達している(言論NPOの発表資料から)
    「数年以内」または「将来的」に台湾海峡で軍事紛争が起きるとみる人の割合が、日本側で44.5%、中国側で56.7%に達している(言論NPOの発表資料から)
  • 台湾海峡緊張の原因をめぐる見方は日中ではっきり分かれた(言論NPOの発表資料から)
    台湾海峡緊張の原因をめぐる見方は日中ではっきり分かれた(言論NPOの発表資料から)
  • 互いの印象が「良くない」と答えた人の割合は高止まりしている(言論NPOの発表資料から)
    互いの印象が「良くない」と答えた人の割合は高止まりしている(言論NPOの発表資料から)
  • ロシアのウクライナ侵攻に関する設問が新たに設けられた(言論NPOの発表資料から)
    ロシアのウクライナ侵攻に関する設問が新たに設けられた(言論NPOの発表資料から)
  • 中国でも「台湾海峡で軍事紛争」を危惧することが多い(写真はイメージ)
  • 「数年以内」または「将来的」に台湾海峡で軍事紛争が起きるとみる人の割合が、日本側で44.5%、中国側で56.7%に達している(言論NPOの発表資料から)
  • 台湾海峡緊張の原因をめぐる見方は日中ではっきり分かれた(言論NPOの発表資料から)
  • 互いの印象が「良くない」と答えた人の割合は高止まりしている(言論NPOの発表資料から)
  • ロシアのウクライナ侵攻に関する設問が新たに設けられた(言論NPOの発表資料から)

台湾海峡、ウクライナ侵攻の設問を新設

   調査は日本のNPO「言論NPO」と中国の「中国国際出版集団」が、日本で7月下旬から8月中旬、中国で7月下旬から9月末にかけて行い、東京と北京をオンラインで結んで開いた記者会見で結果を説明した。世論調査は今回が18回目で、台湾海峡をめぐる問題やロシアによるウクライナ侵攻の是非に関する設問が初めて盛り込まれた。

   「東アジアで軍事紛争勃発の危険性がある地域」をひとつ選んでもらう設問では、日本側で最も多い回答が「台湾海峡」の25.0%。21年の13.4%から大幅に伸びた。次に多かったのが「朝鮮半島」の24.3%で、21年から横ばいだった。中国側でも、「台湾海峡」が最も多く、48.6%。21年は39.6%だった。「朝鮮半島」を選んだ人は16.0%で、21年の12.1%から増加した。

   新設された「台湾海峡で軍事紛争はあると思いますか」という設問では、日本では34.1%が「将来的には起こると思う」と回答。「数年以内に起こると思う」10.4%、「起こらないと思う」9.0%が続き、「わからない」も46.3%いた。

   中国でも「将来的には起こると思う」が最も多く、40.5%。「起こらないと思う」29.9%が続いた。「数年以内に起こると思う」が16.2%で。「わからない」は12.8%だった。つまり、日本側で44.5%、中国側で56.7%の人が、台湾海峡での軍事紛争の可能性があるとみている。

ウクライナ侵攻、中国でも過半数が批判的 「間違っていない」も4割

   ただ、「その原因はどの国あるいは地域にあると思いますか」という問いでは、日中の見解がはっきり分かれた。日本では63.7%が中国を挙げ、次に多かったのが台湾の2.5%。「わからない」が28.8%いた。中国では52.5%が米国に原因があると回答。次に多かったのが「中国と日本」25.8%で、次が台湾の11.7%。「わからない」は3.5%だった。米中対立を背景に、米国と、米国に同盟関係にある日本を問題視している。

   ロシアのウクライナ侵攻について、中国でも過半数が批判的にみていることも明らかになった。「ロシアのウクライナ侵攻に関して、あなたの考えと近いものは次のうちどれですか」という問いで、「国連憲章や国際法に反する行為行動であり、反対すべきである」を選んだのは日本73.2%、中国21.6%だった。「ロシアの行為は間違っているが、ロシアの事情も配慮すべきだ」が日本10.4%、中国29.0%だった。ただ、中国では4割がロシア側に正当性があるとみている。「ロシアの行動はNATOの東方拡大に伴う自衛行動で、間違っていない」と回答した人は、日本で1.1%、中国で39.5%いた。

互いの印象「良くない」は高止まり

   恒例の両国に対する印象を聞く設問では、「良くない」とする回答が高止まりしている。中国で日本に対する印象を「良くない」(「どちらかといえば良くない」を含む)とする回答の割合は、19年52.7%→20年52.9%→21年66.1%と推移していたが、22年は3年ぶりに減少に転じ、21年比で3.5ポイント低い62.6%だった。一方、日本で中国に対する印象を「良くない」と考える人は、19年84.7%→20年89.7%→21年90.9%と推移。22年は3.6ポイント低い87.3%だった。

   ただ、言論NPOの工藤泰志代表は「改善したという認識はあまり持っていない」と指摘している。過去に互いに対する印象が改善した際は「両国民が観光などで往来して良い印象を持つ→それがSNSやメディアで拡散される」といった現象が起きていたが、コロナ禍でそれが途絶えた状態が続いているためだ。ただ、数値が若干改善した理由として、(1)21年の自民党総裁選で中国に批判的な発言があって対日感情が悪化したが、その揺り戻しがあった(2)日中国交正常化50周年をめぐる報道がプラスに作用した、の2つの可能性を挙げた。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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