恒例の「日中共同世論調査」の2022年の結果が11月30日に発表され、「数年以内」または「将来的」に台湾海峡で軍事紛争が起きるとみる人の割合が、日本側で44.5%、中国側で56.7%に達し、両国民ともに危機感を持っていることが明らかになった。
ただ、日本では中国にその原因があると考える人が6割超なのに対して、中国では過半数が米国に原因があると回答。米中対立を背景に、両国民の認識の違いが浮き彫りになっている。
台湾海峡、ウクライナ侵攻の設問を新設
調査は日本のNPO「言論NPO」と中国の「中国国際出版集団」が、日本で7月下旬から8月中旬、中国で7月下旬から9月末にかけて行い、東京と北京をオンラインで結んで開いた記者会見で結果を説明した。世論調査は今回が18回目で、台湾海峡をめぐる問題やロシアによるウクライナ侵攻の是非に関する設問が初めて盛り込まれた。
「東アジアで軍事紛争勃発の危険性がある地域」をひとつ選んでもらう設問では、日本側で最も多い回答が「台湾海峡」の25.0%。21年の13.4%から大幅に伸びた。次に多かったのが「朝鮮半島」の24.3%で、21年から横ばいだった。中国側でも、「台湾海峡」が最も多く、48.6%。21年は39.6%だった。「朝鮮半島」を選んだ人は16.0%で、21年の12.1%から増加した。
新設された「台湾海峡で軍事紛争はあると思いますか」という設問では、日本では34.1%が「将来的には起こると思う」と回答。「数年以内に起こると思う」10.4%、「起こらないと思う」9.0%が続き、「わからない」も46.3%いた。
中国でも「将来的には起こると思う」が最も多く、40.5%。「起こらないと思う」29.9%が続いた。「数年以内に起こると思う」が16.2%で。「わからない」は12.8%だった。つまり、日本側で44.5%、中国側で56.7%の人が、台湾海峡での軍事紛争の可能性があるとみている。