サッカー日本代表がロッカールームにゴミ放置――こんな情報が"証拠写真"とともに海外で広まっている。
FIFAワールドカップ(W杯)カタール大会では、サポーターのゴミ拾いやドイツ戦後の整理されたロッカールームなど、日本人の振る舞いが賞賛されていただけに、驚いた人は少なくないようだ。しかし、情報の出どころを調べると、無関係の写真を用いた偽ニュースだった。
「Japan's dressing room after Costa Rica match.」
W杯のコスタリカ戦、勝利確率が高いとされていた日本はまさかの0-1で敗戦した。
試合があった27日以降、日本代表がロッカールームに大量のごみを放置して会場を去ったとする情報がSNSで拡散している。
フォロワー数が約250万人いる海外のアカウントは「Japan's dressing room after Costa Rica match.(編集部訳:コスタリカ戦後の日本のロッカールーム)」との文言とともに、ごみが散乱したロッカーの写真をツイートすると、少なくとも8000以上リツイートされた。写真には、青いユニホームを着た選手たちのポスターも確認できる。
フェイスブックでも、海外の別のアカウントが同じ情報をシェアし、多くの反応を得ていた。
日本はW杯開幕以降、サポーターの自主的なごみ拾いや、ドイツ戦後のロッカーの清潔さが海外で話題となった。それだけに、驚きをもって受け止めた人は少なくないようだ。
しかし、FIFAの日本人向けツイッターアカウントは28日、コスタリカ戦後とみられる日本代表のロッカールーム写真を公開しているが、ごみは確認できない。机の上にはドイツ戦同様、折り鶴とともに、日本語とアラビア語で「ありがとう」と書かれたメッセージを残している。
青いユニホームの選手、正体は
拡散されているロッカールームと、FIFAが公開した写真を比べると、内装も全く異なっていた。
ストックフォトサービス「アフロ」で、会場となったアフメド・ビン=アリー・スタジアムのロッカーを確認すると、やはりFIFAが公開した写真と共通点が多かった。赤と黒の革張りとみられる座席、白い床が特徴の部屋だった。一方、拡散されている写真の座席は木製で、床は濃いグレーだった。
その上、同じ写真が22年3月のニュース記事で多数ヒットした。英デイリーメールによれば、写真は、北マケドニアに負けてW杯出場を逃したイタリア代表のロッカールームを映している。会場のスタディオ・レンツォ・バルベラのロッカー写真をストックフォトサービス「ゲッティイメージズ」で確認すると、座席は木製、床は濃いグレーだった。
青いユニホームの選手たちのポスターはイタリア代表だったようだ。日本も同じく青を基調としており、この点も誤解につながったとみられる。