新潟のアイスメーカー「セイヒョー」がツイッターで公開したCM動画が大きな注目を集めている。自社商品をイメージした登場人物たちが学園ラブコメディを繰り広げるのだが、登場人物が全員「シニア」だったのだ。
J-CASTニュースは話題のCMを制作した背景を、セイヒョーに取材した。
「アイス屋さんがCMに本気を出した結果」
セイヒョーは2022年11月16日、「アイス屋さんがCMに本気を出した結果」というコメントを添えて、ツイッターで新作のCMを公開した。その内容は次の通りだ。
ヒロインは、グレーヘアの女学生。同社のかき氷バー「もも太郎」を頬張りながら歩いていると、財閥の御曹司・佐渡にぶつかってしまう。高慢な佐渡は、しゃがれた声で「お前今日から俺の召使な」と命令し、抵抗するヒロインの口を押えつける。
ヒロインは思わず「とぅんく」と、ときめきながら目をつぶる。佐渡は、うっとりとしたヒロインの口に、そっとセイヒョーのアイス「佐渡の藻塩使用塩キャラメル」を運んだ。ヒロインは「何?この濃厚なハーモニー・・・これがオトナの味ってワケ?」と感嘆する。
その様子を、遠目から「牛乳バニラ」、「越後姫」、「村上緑茶」「ル レクチェ」の4人が見守る。いずれもかなり高齢なルックスの学生だ。ルレクチェは片言で「フーン、オモシレーオンナ」とつぶやき、不敵な笑みをこぼすのだった。
このCMは、ギフトセット「NIIGATA ICE SELECTION」の販売を告知したもの。ヒロインに立ちはだかる5人のキャラクターのモチーフになったカップアイス5種がセットになっている。アイスは12個で税込み4800円。予約商品で12月12日から出荷予定だ。
CMのタイトルは、「なぜか最後まで見てしまうアイス屋さんのCM」。ツイッターでは「最高すぎる!」「笑い止まらん」などと楽しむが寄せられている。ツイートには14万8000件リツイート、47万7000件の「いいね」が寄せられる大きな反響があった。動画再生数は22日時点で1000万回を超える。
どうして「シニア俳優」でラブコメを表現?
話題のCMは、TikTokなどで活躍する映像作家・セカイ監督が手掛けた。取材に対しセイヒョーは、「インターネットではテレビCMとは異なる話題性が重要」だと考え、SNSでの動画プロモーションを得意とするセカイ監督に依頼したと明かす。
セカイ監督が同社のCMを手掛けるのは2度目で、前作は夏ごろに「放送事故すぎるアイス屋さんのCM」というタイトルで投稿されている。制服姿のシニア俳優がラブロマンスを演じたもので、こちらが好評だったことから2作目も依頼したそうだ。
それでは今回、セカイ監督はなぜベタな学園ラブコメをシニア俳優で表現したのか。J-CASTニュースの取材に対し、セイヒョーを通じて次のように答えた。
「シニア俳優にしたのはセイヒョーが老舗のアイス屋さんだと表現するためです。
ラブコメの理由ですが、セイヒョーさんといえばもも太郎アイスだと思うのですが、食べてるターゲットは誰かと考えたときに最初に学生を思い浮かべたんです。
なのでおもしろおかしくアイスを食べられないかと考えたときにラブコメのあるあるは共感がとれるし面白いなと思ったのがきっかけです」
セイヒョーは1916年に製氷会社として創業。老舗氷屋としての技術を用いて、アイスクリームや製氷・和菓子などを製造・販売している。「もも太郎」は新潟のソウルフードとして長く愛されており、セカイ監督はそういった老舗らしさを伝えたかったという。
登場するキャラクターについては、「それぞれのアイスの味から連想して擬人化したキャラ」だそうだ。
「それぞれのプロフィールの詳細はまだ決めてないです笑。反響があれば第3作に向けて深いところまで決めようかなと思ってます」
セイヒョーは「自社内では思いもつかないような視点のCM動画となり、これまでとは全く異なるアプローチができたと考えております」と振り返る。動画の反響は予想以上で、オンラインショップでは動画公開からわずか1日で、昨年の11月の1か月分の注文件数が入ったとのことだ。