大きなガラス張りに、一体感のある吹き抜けの空間――。公民館・図書館・児童センターの3つの機能を備えた複合施設「まちなかリビング北千里」(大阪府吹田市)が2022年11月22日にオープンした。
しかしオープン前の11月中旬、この施設を紹介したツイッター投稿をきっかけに、その設計や内装が物議を醸した。「こんな採光良くして、肝心の本の日焼けとか大丈夫なのかしら」「日焼けで本が死ぬ」などの指摘が相次いだのだ。
こうした指摘について、どのように考えているのか。J-CASTニュースは11月22日、吹田市地域教育部中央図書館に詳しい話を聞いた。
「開放感のある図書館素敵」の声も
吹田市の公式サイトなどによれば、まちなかリビング北千里は「複合施設による子育て・学びの拠点づくり」をコンセプトにしている。地上2階・地下1階建ての建物で、オープン時の蔵書数は計5万5000冊だ。
この複合施設ではWi-Fiを使用でき、一部エリアで飲食が可能になっている。図書館は10時から20時まで開館しているが、毎月最終火曜日と年末年始は休館日となっている。
施設がSNSで大きな注目を集めたのは、2022年11月12日頃からだった。開館時間やWi-Fi利用などの詳細や、大きなガラス張りで吹き抜けになっている内装の様子などがツイッターで紹介されると、思わぬ指摘が相次いだのだ。
「日焼けで本が死ぬ」といった声だ。一方では、「開放感のある図書館素敵です!」「環境によって本に親しむ人が増えるならいい事だと思います」など好意的な声も上がった。
「本の日焼け」という指摘に対し、吹田市地域教育部中央図書館は22日、「外壁ガラス面から8メートルの奥行のあるCLT(編注・木材パネルの一種)大屋根を建物東側に配置し、日よけ対策を行っています」と取材に答えた。
「日焼けに配慮したガラス仕様となっています」
日照角を考慮した屋根・ひさし・窓の配置設計を設計事業者に依頼しているといい、日差しの影響が低い北側を中心に書架を設置しているという。
吹き抜け周りについては「今回採用しているガラスの紫外線カット率は約75%で、図書資料の日焼けに配慮したガラス仕様となっています」とし、状況の変化については継続的に見守っていくとしている。
ネット上の一部では、吹き抜け構造について、冷暖房の効率が悪いのではないか、という指摘もあった。
中央図書館は、図書館吹き抜け部分の空調は「床面の冷却・加熱による放射と、床吹出しの複合方式」を採用していると回答。床放射の効果で、室内設定温度を上げ下げすることができ、その設定温度の空気を床から出すことによって、床面から2メートル程度の空間のみを空調することができるという。
「天井の高い空間に適した方式であり、冷暖房効率が悪いとは考えておりません」
としている。