なぜ26年間も行使されなかったのか
筆者の違和感は、なぜ26年間も行使されなかったのかということからくる。法改正は、立法府から行政府への要求である。それをなぜ無視してきたのか。
この質問権が法改正、施行された後の担当課長であり、かつ元文科事務次官であった者が、宗教法人の名称変更について受理しなかったと言った。受理しないのは行政手続きに違反しており、本来であれば受理して質問権を行使すべきだった。
今回は折角質問権が行使されるので、旧統一教会の海外送金問題を解明してほしい。日本国内で多額の寄付を集めていたが、その大半は海外に送金されている。宗教法人は財産目録及び収支計算書を作成しており、それらを丹念に追えば、海外送金の実態もつかめるはずだ。その場合、外為法に基づくものなのかのチェックも容易にわかるので、是非国民に知らせてほしい。
それと、究極的には裁判所への解散命令を文科省が請求できるかどうかだ。ここは、裁判所の問題と割り切り、文科省は早く請求して、裁判所に任せるという手もある。いつまでも文科省がやるより、その方が国民の納得は高いだろう。
++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣官房参与、元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。20年から内閣官房参与(経済・財政政策担当)。21年に辞職。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「国民はこうして騙される」(徳間書店)、「マスコミと官僚の『無知』と『悪意』」(産経新聞出版)など。