文部科学省は2022年11月22日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対し、法人の組織運営や収支、財産に関して12月9日までに報告を求める書類を送り、宗教法人法に基づく「質問権」を行使したと発表した。「質問権」の行使は1996年にこの規定ができて以来、初めてという。初めてなので、マスコミも報道するのだろう。
一連の流れに違和感
21日の宗教法人審議会で旧統一教会への「質問権」の行使について「相当」だとする答申が出されたことを受け、永岡桂子文部科学大臣は「旧統一教会に通知を発出する」と述べていた。
また、永岡文科大臣は「法人の組織運営に関する規定文書、収支財産に関する書類、帳簿の報告を求める」としている。
「組織・運営」として求めるのは、組織図などの組織を表すものや役員規程、役員会の議事録など。また「収支・財産」については、収支計算書や寄付の受付帳など金の流れを証明するものの提出を求める方針。
こうした一連の流れについて、元行政官の筆者にはやや違和感がある。
そもそも「質問権」はオウム真理教事件を契機に26年前に行政に付与されたものだ。具体的な条文は宗教法人法第78条の2であり、宗教法人に法令違反などが疑われる場合、運営実態などについて報告を求めたり、質問したりできるものだ。
一般的に行政が持っている質問権と似ているが、宗教法人審議会の意見を聞いた後にするなどより慎重な手続きになっている。