男児ら大やけどのフランベは「パフォーマンスが過ぎた」 事故のステーキ店、何が危険だった?識者に聞く

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   沖縄県豊見城市内のステーキ店で客の男児(5)らが顔などに大やけどを負った事故を巡り、火を点けてアルコール分を飛ばす「フランベ」の安全性がクローズアップされている。

   フレンチシェフの中には、フランベをしなくても香りは付くとの意見も出ているようだ。フランベにどんな危険があるのか、専門家に取材した。

  • フランベで火が点いたステーキ(写真はイメージ)
    フランベで火が点いたステーキ(写真はイメージ)
  • フランベで火が点いたステーキ(写真はイメージ)

プラスチックボトルの尖った先からラム酒が噴射され...

   赤いステーキ肉がいくつか鉄板の上に置かれ、店のシェフが塩や胡椒の容器をマジシャンのような手つきで振る。プラスチックボトルを左手に持って、右手にバーナーを持って火を点けると、途端に前の客席まで燃え広がった。

   この動画は、男児の家族だという人が2022年11月21日にツイッターに投稿した。拡大スローの映像も入っており、それを見ると、プラスチックボトルの尖った先から液体が客席の方に噴射され、それに火が移っていく様子が出ていた。動画の説明では、容器のボトルにも着火して爆発状態になったという。

   報道などによると、18日夜、ステーキ店「サムズアンカーイン」イーアス沖縄豊崎店でアルバイト店員がフランベのパフォーマンスを行い、手順を間違えて客の40代男性とその息子に火が移り、男性も手などにやけどを負った。動画を見ると、息子は、右手が水ぶくれになり、顔の下半分がただれて赤く黒ずんでおり、痛々しかった。動画の投稿者は、警察に被害届を出すとしている。

   事故後に、沖縄県内で9店を展開する運営会社グレートイースタンは、全店でフランベを中止し、事故のあったイーアス沖縄豊崎店は、22日から3日間の休業に入った。

   フランベとは、香り付けのために、ブランデーやラム酒といったアルコール度数の高い酒を料理にかけ、火を点けてアルコール分を飛ばすことを指す。

   フランベに使ったプラスチックボトルについて、グレートイースタンの広報担当者は22日、ラム酒が入っていたとJ-CASTニュースの取材に答えた。客に楽しんでもらうため、中身が空の塩や胡椒の容器を振るなどパフォーマンスをして調理したという。

「プラスチックボトルからお酒を噴射するのは危ない」

   しかし、現場に出動した豊見城市消防本部では、予防課長が「出動の概要については、捜査の支障になりますので、差し控えさせて下さい」と答えながらも、「火の扱い方は、不適当でよろしくないと考えています」と述べた。

   沖縄県警の豊見城署でも、「今回起きたことの詳細や原因については調査中です」としたうえで、「示談が成立せず、もし被害届が出されれば、業務上過失傷害などを念頭に、受理をして捜査を進めます」と取材に明かした。11月22日昼過ぎ現在は、被害者と店側で話をしている段階だという。

   原因については、プラスチックボトルから酒が噴出した可能性のほか、飛び跳ねた油で出火したこともありうるとして、慎重に調べているとした。プラスチックボトルを使うことが一概に危険があるとは言えないものの、アルコール度数が70~80%と高い酒はよく燃えるため、店も危険性を認識しながらパフォーマンスをしていたのではないかとしている。

   今回のことについて、ネット上では、「パフォーマンスがより過激になっていった結果では」「きちんとした安全対策を行った上でそれをするべきだ」との声が出た。フランス料理のシェフなどからは、フランベには危険もあるとしたうえで、それをしなくても香りは付くはずだとの指摘もあった。

   フランス料理のシェフでつくる「日本エスコフィエ協会」の担当者は22日、取材に対し、今回のフランベについてこう話した。

「フランベは、火を使いますので、客との距離を取る必要があるほか、お酒を注ぐ量の加減には気を付けなければいけません。普通ですと、大きめのスプーンやお玉、レードルに軽くお酒を注いで、ゆっくりと料理に落とします。直接、ビンなどで注ぎますと、火が上ってビンが割れる恐れがあります。プラスチックボトルからお酒を噴射するというのは、危ないですし、客の前でやるパフォーマンスが過ぎた感じがしますね」

   香り付けでするフランベについては、こう説明した。

「ステーキなどの肉のほか、チェリージュビレといったデザートなどで、フランス料理に伝統的にある手法ではあります。フランベをしなくても、お酒を料理に入れれば、ちゃんとした香りが出ますので、香り付けの面では変わりはありません。火が大きいと、見た人がびっくりして演出効果がありますので、どちらかと言えば、客にお見せするショーの意味合いが強いですね」

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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