「アニメ発・架空のお祭り」はなぜ地域に根付いたのか ファンと地元民に愛され11年...仕掛け人に聞く歩み

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第1回湯涌ぼんぼり祭りの経緯

   ただ、山下さんは、湯涌町が地元の宿泊客の割合が高かったため、街の夜の賑わいがほしいと以前から感じていた。少しでも温泉街を元気付けたいという思いから、花咲くいろはの舞台モデル化とともに、湯涌ぼんぼり祭りを現実のものにしようと考えた。

   第1回に向けた準備が始まったのは、『花咲くいろは』の放送が始まった11年4月頃のことだ。開催にあたっては、製作委員会から全面的な協力の申し出があったものの、開催資金などの面で問題を抱えていたという。

   そこで、製作委員会の協力のもとで、作品のポスターやクリアファイルなどのグッズを販売し、その収益を開催費に充てるという形を取ることになった。

   しかしこれは、アニメのコラボ商品で収益を上げようと求めていたわけではなく、あくまでもお祭りを運営する開催資金のためだと、山下さんは話す。

   「この街が『花咲くいろは』で描かれる架空の温泉街『湯乃鷺温泉」になってはいけない。あくまでも湯涌温泉は、湯乃鷺温泉のモデルとして制作者側が描きたいと思った町であり続けなきゃダメだ」という考えがあったからだ。

   こうした過程を経て、2011年10月9日、ついに第1回ぼんぼり祭りの開催日を迎えた山下さん。参加人数の公称は5000人だったが、実際には1万人近くの人が参加したのではないかと話す。当時の心境について聞くと、「まずはホッとした。大勢の方に認められてホッとしたと感じた」。

   この翌年から毎年10月に湯涌ぼんぼり祭りが開催される。2020年、2021年は中止になったが、22年は厳しい人数制限を実施しながらも、お祭りを再開し約1500人が参加した。

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