ボジョレー・ヌーボー?ボージョレ・ヌーヴォー? 正しい表記はどれなのか...日本語学者に聞いてみた

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   2022年の「ボジョレー・ヌーヴォー」が11月17日に解禁された。

   同日0時には解禁イベントが開かれるなど、今年も注目を集めているが、その模様を伝えた記事を見てみると、その名称の表記が揺れていることに気付く。

   ボジョレー、ボージョレ、ヌーボー、ヌーヴォー...。メディアによって、その表記が微妙に異なるのだ。はたして、正しい表記はどれなのだろうか。J-CASTニュース編集部は識者に意見を聞いた。

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業界団体に尋ねたが...

   まず、先述した解禁イベントの模様を伝えた記事を見てみよう。

   17日2時台に配信された「サンケイスポーツ」は、「価格高騰の『ボージョレ・ヌーボー』解禁 試飲イベント再開も」との見出しで解禁イベントを速報。そのほかの新聞各社の表記も確認したが、同様の「ボージョレ・ヌーボー」がほとんどだった。

   テレビ局が運営するニュースサイトにおける表記は「ボジョレ・ヌーボー」が主流のようで、「FNNプライムオンライン」や「日テレNEWS」も同表記。一部では「ボージョレ・ヌーボー」とするテレビ局もあった。

   そのほかのパターンもある。天気情報などを伝える「ウェザーニュース」の記事では、「ボジョレー・ヌーヴォー」という表記が、ネットメディア「Lmaga.jp」記事では、「ボージョレ・ヌーヴォー」という表記がそれぞれ使われていた。

   ちなみに、広辞苑第7版および日本ソムリエ協会のウェブサイトにおける表記は「ボジョレー・ヌーヴォー」。一方、共同通信社の「記者ハンドブック 第14版」では「ボージョレ・ヌーボー」だ。

   表記の違いについて、ワインに関する複数の業界団体にも話を聞いたが、答えは「分かりかねるのでお答えできない」「複数の表記があることは事実だが、どれが正しいのかといったコメントは差し控えたい」といったものに留まった。

   そこで、編集部は「三省堂国語辞典」の編集委員として知られる日本語学者の飯間浩明氏の見解を聞いた。

「それぞれのメディアや個人の好みです」

   まず、飯間氏は「どれが正しい表記なのか」というという問いに答えることは難しいとしつつも、代表的な語形はいくつか存在すると指摘した。

「私の携わる『三省堂国語辞典』では、2008年の第6版で『ボ(ー)ジョレ ヌーボー』を新規に追加し、『ボ(ー)ジョレー ヌーボー』の形も添えました。つまり、4通りの語形を示したわけですが、気持ちとしては『ボージョレ』を主にしていました。新聞の表記が念頭にありました」

   次に、飯間氏はこれらの複数の表記について、その使われ方の各時代におけるトレンドについて説明した。

「一方、世の中では『ボージョレ』は比較的古く、今は『ボジョレー』が多いですね。コラムニストの泉麻人さんは、1990年に『ボージョレー』と書いていますが、翌91年には『ボジョレー』としています。今年刊行の『三省堂国語辞典』第8版も、『ボー』と伸ばさない『ボジョレ(ー) ヌーボー』を主としました。世の中に合わせたのです」

   最後に、飯間氏は複数の表記が乱立してしまう根本的な理由について説明した。

「どれが正しいかは、結局決められません。フランス語では母音の長短を区別しないので、要はそれぞれのメディアや個人の好みです。また、『ヴ』は通常使わない文字ですが、『ヌーヴォー』としたければ、それもいい。日本語では『ハロウィン』『ハロウィーン』の両方とも言えるなど、多様性があるのです」

(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)

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