瀬戸内7県を拠点に活動するアイドルグループ、STU48の岩田陽菜(いわた・ひな)さん(19)が初の写真集「選べないクレヨン」(KADOKAWA)を2022年11月2日に出版した。
STU48は、世界平和への願いを込めた最新シングル「花は誰のもの?」がロングヒットを記録中。22年は「うたコン」(NHK)や「ミュージックステーション」(テレビ朝日系)といった歌番組への出演が相次ぎ、全国的な知名度も上がった。14歳でSTU48に加入した岩田さんは、23年2月には20歳の誕生日を迎える。「ラスト10代」を記録した写真集への思いや、今後の活動への意気込みを語ってもらった。(聞き手・構成:J-CASTニュース編集部 工藤博司)
打ち合わせ資料は「本当に気合いを入れて、事細かく書いた」
―― 岩田さんは14歳でデビューしましたが、写真集を出すのは、それ以来の念願だったそうですね。
岩田: そうなんですよ!私が48(グループ)に入る前から、ずっと推しメンの写真集を買って見たりしていたので、いつかこんな「自分丸ごと1冊」な本を出してみたいと思っていました。皆さんの写真集は「自分らしさ全開」じゃないですか。そういったものにすごく憧れていたので、こうして本当に夢がかなって嬉しいです。
―― STU48では瀧野由美子さん(24)、石田千穂さん(20)、薮下楓さん(22)の3人が写真集を出版しています。「私も絶対出したい」という気持ちがあったわけですね。
岩田: やはり(他の)メンバーが出すと「そろそろ私も出したい」「こういう写真集にしたい」といった思いが募りました。ファンの皆さんも「陽菜ちゃんの写真集も楽しみ」と言って下さる方もいたので、私も期待に応えたいと思って頑張りました。
―― 3人の写真集の、どんなところを参考にしましたか。
岩田: (3人それぞれにとって)初めての写真集ということで、すごく自分らしさ、自然体な感じが、胸がきゅんとなるような写真集だと思いました。10代の「青春感」がある写真集にしたいと思いながら参考にしました。
―― 9月21日の動画配信サービス「SHOWROOM」の配信では、打ち合わせに向けて資料を作って「こんな風にしたい、ここの現場で撮りたい」といったことを盛り込んだことを紹介していました。「本当に気合いを入れて、事細かく書いた」とも話していました。
岩田: そうなんですよ!「どうしても、こういうのを撮りたい」「撮影地はここにしたい」「衣装はこんな感じにしたい」とか、チャレンジしたいことを本当に細かく送って、すごく頑張りました。
―― その頑張りが反映されて「こういう撮り方ができた!」といったカットがあったら教えて下さい。
岩田: 海沿いで、制服姿で花火をしているカットですね。「エモエモな感じにしたい」と言って実際に撮れたので、ここはすごく私の中でお気に入りですね。他にも制服ショットはありますが、これは特別です。
―― 他の制服ショットは、広場やアスレチック施設での撮影です。それ以外に「海+花火」という要素が必要だったと...。
岩田: 段々、青春・10代のピチピチ感が終わるといいますか...、そういうところが花火の切なさによって表現できているのではないかと思います。終盤のバニーちゃんも、特に私がやりたいと思ったカットで、ファンの皆さんにも「かわいすぎる!」と好評で良かったです。それ以外に、遊園地や温泉...特に自然豊かな場所で撮りたいと思っていました。秋吉台(美祢市)のカルスト台地での撮影がかなったのはうれしかったです。
高級旅館の古稀庵でも撮影
―― 出身地のオール山口ロケですね。ときわ公園(宇部市)とか...。
岩田: 小さい頃にプライベートで行っていたので、すごく懐かしい気持ちになりました。一帯が子どもが楽しめる場所で、思い出がよみがえる場所です。表紙にもなっているカルスト台地は、山口県民みんなが誇りに思っているような場所です。大自然の中で、いろいろな私が撮れました。
―― 湯田温泉(山口市)の高級旅館、古稀庵(こきあん)でも撮影しました。
岩田: 本当に温泉が好きで、湯田温泉にはよく泊まりに行ったりしていました。古稀庵さんは本当に高級な旅館で泊まったことがなく、いつか泊まってみたかったので、まさかこの写真集でかなうとは思っていませんでした。泊まった部屋には温水プールがあって、夜も私ひとりで泳ぎました。
―― 古稀庵に泊まれたんですか!
岩田: そうなんですよ。ありがたいことに、山口のおばあちゃんと一緒に。
―― 山口県の魅力についても一言お聞かせください。やはり、自然の豊かさでしょうか。
岩田: 自然がいっぱい豊かに残っているのもそうですし、ご飯もすごく美味しいのもそうです。すごく優しい方が多いです。撮影をした後に、「写真集おめでとうございます。楽しみにしてます」と言ってくださる方が本当に現地に多くおられました。この写真集を見て、山口に行きたいと思ってくれる人がいたらいいと思います。
―― 水着や下着(ランジェリー)、いわゆる「肌見せ」の撮影は初めてだと聞きました。撮ってみていかがですか。緊張しましたか?
岩田: すごく緊張しましたが、緊張していたらいい写真が撮れないな、ともすごく思いました。前前日ぐらいから、いろんな方の写真集を見て、「こういうのを撮りたい」と気持ちを切り替えるようにしました。「恥ずかしい」という気持ちから、「いい写真を撮りたい」という思いを大きくしてから撮影に挑んだので、もちろん緊張はしましたが、「いい写真を撮るぞ」という思いの方が大きかったので、表情は初めてにしては頑張っていると思います。
―― 緊張しつつも現場では落ち着いてできた、といったところでしょうか。
岩田: そうですね、スタッフの皆さんがすごく優しかったので、リラックスして、最後の方は全然恥ずかしくない気持ちになっていましたね。
「麻友さんリスペクト」で「『王道アイドル』にふさわしいように頑張りたい」
―― メンバーや、ご家族の皆さんの反応はいかがでしたか。
岩田: STU48自体がそんなに水着グラビアをやるグループではないので、「陽菜ちゃんのこんなに露出している姿を見てもいいの??」「こんなに脱いでる!」みたいに、すごくメンバーみんな驚いてくれて「ピュアピュア」の反応が毎回楽しかったです。家族もびっくりはしていましたけど、「10代最後の姿が写真集として残せるならいいんじゃない?」と言ってくれました。
―― 発売日の11月2日のSHOWROOM配信によると、浴衣姿で卓球して、勝って「イエーイ!」と喜んでいるシーンが、お母様のお気に入りだそうですね。
岩田: 母に「これが一番陽菜ちゃんって感じがする」と言われて、確かに!って思いました。なんか腕の短さがいいらしいです(笑)。「短くないよ!」って言ったんですけど...。浴衣で少ししか見えてないんですよ。
担当編集者: 僕と試合して勝った後、すぐに撮ったカットです。ガチで勝ってる表情です!
―― AKB48の渡辺麻友さん(28=17年卒業)のファースト写真集「まゆゆ」(11年)の表紙では、何も着ていないように見えるポーズが話題になりました。岩田さんの写真集にも、似たようなポーズが載っていたのが印象的でした。
岩田: STU48に入ってから、最初はずっとAKB48さんの曲をカバーさせていただいていました。その時に(ステージの立ち位置を示す「立ち位置表」の自分のポジションに)「麻友」と書いてあることが多くて、すごく嬉しく思っていました。私自身、麻友さんはアイドルとして憧れの先輩だったので、「えへへ」と思いながら麻友さんのポジションでパフォーマンスしていました。そういったこともあって、私はSTU48で「アイドルポジション」というか「かわいいポジション」でパフォーマンスできていました。その麻友さんのファースト写真集の表紙を見たとき、私はすごく胸が「えーっ!」となったのを覚えていて、私もそういう写真集を出したいと思いました。ひと皮もふた皮も剥けている新しい自分と出会える写真集を出したいと思ったので、「麻友さんリスペクト」で、このポーズをさせていただいています。
―― 今後も、渡辺麻友さんのような「王道アイドル」として活躍を目指しますか。
岩田: 自ら「王道アイドルになる!」みたいな感じがあって(今の姿に)、なっているわけではないのですが、すごくありがたいことに「陽菜ちゃんといえばアイドルだよね」みたいに言ってくれることが多いので、「王道アイドル」にふさわしいと思われるように頑張りたいと思います。
―― エディオン広島本店(広島市)に、熱心なファンの皆さんが広告を出しました。
岩田: 私も知らなかったのでびっくりしました。写真集発売から1週間、1時間に10回も放映されていたそうです。横断歩道が目の前にある場所なので人通りも多く、こんな場所で私の写真集を宣伝してくれているのかと思うと、本当に温かいファンの皆さんに応援されて、ファンの皆さんもこの夢を叶えたことを嬉しいと思ってくれていることを改めて感じて感動しました。
―― エディオン広島本店は広島市中心部にありますね。STU48のコアなファン以外の目に触れる機会も多かったかもしれません。
岩田: 多くの皆さんに見てもらえたと思うので、ファンの皆さんにはすごく感謝です。
―― この写真集を出版したことで、さらに活動の幅が広がると思います。例えば2冊目の写真集や、今後のグラビア撮影などで挑戦したいことはありますか。
岩田: もしセカンド写真集を出せるとなったら、まだまだやりたいことがたくさんあります。今回は夏に撮影しましたが、私は結構冬が好きなんです。今回は10代ならではのキラキラ感が残ったので夏でよかったと思いますが、雪で撮影したりもしてみたいです。飼っているウサギの「くしゅ」ちゃんと一緒に撮影したいし、実家での撮影にも憧れています。これからグラビア雑誌にもたくさん挑戦していろいろな魅力をつけてから、また(写真集を)出したいですね。
「岩田陽菜には、24色の魅力があると思う」の読み解き方
―― 今後も夢が広がりますね。写真集のタイトルは「選べないクレヨン」。総合プロデューサーの秋元康氏が帯に寄せたメッセージでは、「子供の頃、24色のクレヨンを欲しがった。12色のクレヨンでは描けない何かがあるような気がした。でも、実際に、クリスマスプレゼントにもらった24色のクレヨンを前にすると、どのクレヨンを使おうか迷ってしまった。岩田陽菜には、24色の魅力があると思う」と説明されていました。岩田さんは12色ではなく24色でないと表現できない、というメッセージですが、自分のどういったところにグラデーションがあると感じますか。
岩田: 私は「かわいい」というところしか得意ではないと思っていたのですが、今回の挑戦で、大人っぽさや自分の中にないものを引き出せたと思います。写真集を撮ってから、すごく私も変われて24色になったと言いますか...。周りの皆さんも「写真集を撮ってから表現の幅が広がったね」と言ってくださることが増えたので、写真集のおかげだと感じています。
―― 写真集の一貫したメッセージとして、19歳から20歳になる中で、「かわいい」から「きれい」に変化していくわけですよね。そのプロセスでの24色でもありますね。
岩田: 「かわいい」から「きれい」についてもそうですし、20歳になっていろいろな経験を積んで、24色以上の魅力が出せるように頑張っていきたいです。
―― 「花は誰のもの?」が大ヒットし、今年の秋は「ミュージックステーション」2回、「うたコン」など、有名番組の出演が相次ぎました。1年を振り返っていかがですか。どんな1年でしたか。どういった点が人気を押し上げたとお考えですか。
岩田: この1年の後半、特に広島グリーンアリーナ(広島市)で7月に開いた5周年コンサートのステージに立ってからたくさんいいことがあったと思っています。「花は誰のもの?」がロングヒットで、今でもMステさんやベストヒットさん(読売テレビ「ベストヒット歌謡祭2022」)に出演できたり、今まで5年間、私達が頑張ってきたことがじわじわと実を結んでいると改めて感じています。ここまで頑張ってこられてよかったです。コロナ禍でなかなか動けずにいた時期もありましたが、今は結構動けるようになったので、再出発の形で、これからたくさん瀬戸内の魅力を発信していきたいです。写真集が発売できたので、私の魅力も発信していきたいですね。
―― 楽曲のメッセージは相当強いですね。
岩田: 「花は誰のもの?」という曲は平和を願うメッセージソングになっているので、私達もニュースを見て気づくことがたくさんありました。この曲が世界中の皆さんの心に響いたらいいと、すごく思っています。
「まだまだセンターになりたいという夢を諦めずに...」
―― もうすぐ年末です。様々な歌番組への出演がありそうです。少し気が早いですが、2023年はどんな年にしたいですか。
岩田: 年末はいろいろな歌番組に出たいという思いがあります。3期生の募集も最近始まったので、「STU48は、まだまだここからだぞ」と思ってくれるように、いろいろな嬉しいこと、新しいことに挑戦して輝いて、来年は本当に絶対に、STU48が紅白歌合戦に出るぐらいの存在になりたいですね。
―― 「花は誰のもの?」は、石田千穂さん、瀧野由美子さん、中村舞さん(23)の3人が楽曲を披露する場所や場面によってセンターポジションを務める「トライアングルセンター」です。特に瀧野さんは岩田さんと同じ山口県出身ですが、岩田さんもセンターに立ってみたいという思いはありますか。
岩田: STU48の最初の曲「瀬戸内の声」から、ずっとフロントメンバーとして今までのシングルに参加してきて、私はなかなかセンターになれるようなメンバーではありませんでした。でも、まだまだセンターになりたいという夢を諦めずに、これからも頑張っていきたいと思っています。
岩田陽菜さん プロフィール
いわた・ひな 2003年生まれ、山口県出身。17年に1期生としてSTU48に加入。デビューシングル「暗闇」(18年)から最新作「花は誰のもの?」(22年)まで8作連続で選抜メンバーとして活動している。ニックネームは「ひなちゃん」。