アニメ事業者が訴える懸念
「アニメ業界の未来を考える会」は会見で、免税事業者と取引のある事業者が抱える苦悩を訴えた。
「ガンダム」シリーズで知られるサンライズ、アニプレックスを経て現在はアニメプロデューサーとして活躍するスカイフォールの代表取締役・植田益朗さんは、「43年アニメ業界に携わってきましたが、今回のインボイス制度ほど危機感を感じたことはございません」と怒りをにじませる。「制度をこのまま導入することは業界にとって何のメリットもない」と強く非難し、免税事業者の多いフリーランスの必要性を訴える。
「使いたくない言葉ですが、アニメ業界はいままで『ブラック産業』といわれ、非常に劣悪な部分だけを強調されてきました。確かに、そういった側面もゼロではありませんが、昨今は業界全体で働き方改革の見直しを含め業界全体で労働環境の改善、アニメーターの人材育成、社員化など、日本のクリエイターをなんとかしていこうと動き出しています。
そのうえで、全ての人間を社員化できるわけではないという実情もあり、いかにフリーランスの底支えが必要かというのは今後も変わりません」
アニメ「キルラキル」「プロメア」などのヒット作を生み出したアニメ制作会社トリガーの大塚雅彦代表取締役も、「決してフリーランスだけの問題ではない」と訴える。
取引先のフリーランスがインボイス登録をしていても、登録に不備などがあった場合の事務的負担が事業者に回ってくる可能性があると推測。インボイス制度が一部の人々だけにふりかかる問題とされていると危機感をあらわにした。