「インボイス」で年収1000万円超の漫画家も廃業検討...エンタメ団体が悲痛な訴え 「フリーランスだけの問題ではない」これだけの理由

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免税事業者は「ネコババ」しているのか?

   「VOICTION」に所属する声優は、政治的な発言でファンや事務所、クライアントから忌避されるリスクを抱えながらも、活動を続けているという。

「それだけインボイス制度が声優業界に大きな影響を与え、業界を衰退させてしまうからです。私たちはこれを政治の話だと捉えてはいません。私たちの身に降りかかる生活の話だと思っています」

   岡本さんたちがフリーランスを対象に行ったアンケートによれば、取引先から「インボイスに登録してもらえないと今後の契約は約束できない」「課税事業者にならなければその分報酬の値引きを行う」といった言葉をかけられた人もいた。岡本さんは、インボイスの有無を理由に起用されなかったとしても、事業者からは「今回は縁がなかった」「役に合わなかった」などと説明され、問題が明るみに出ない可能性があると付け加えた。

   さらに岡本さんたちは、インボイス制度に反対する活動の中で、消費税の納税義務が免除されていることについて「ネコババしている」とSNSなどで非難されることがあるという。

   こうした声に対し、岡本さんは誤解があると反論する。その根拠に、「東京地裁平成2年3月26日判決」を挙げる。

「裁判所は、消費者が事業者に対して支払う消費税分はあくまで商品や役務の提供に対する対価の一部としての性格しか有しないと言っています。その裁判の中で財務省(当時は大蔵省)は、事業者が納税義務者であることは明らかである(消費税法第5条)、同じく消費税相当額は対価の一部に過ぎないと言っています。これは明確に、(消費者が事業者に支払う消費税分は)売り上げであって預かり金ではないとうことではないでしょうか」

   また消費税の事業者免税店制度は、小規模事業者の納税事務負担などに配慮した制度であり、岡本さんは「免税事業者は法の下、きちんと保護されている存在」だと訴えた。

   会見後の個別取材に対し、同団体に所属する声優の福宮あやのさんも次のように述べる。

「地裁の判決により国側が、消費税は預り金ではないとの主張をしてそれが認められており益税は存在しない旨を述べましたが、記者会見後のヒアリングにおいても財務省が消費税法上『益税』という言葉は存在しないと述べています」

   今回の記者会見後、4つのエンタメ業界はインボイス問題を検討する超党派議員のヒアリングに参加している。この会には国税庁・財務省の担当者も出席しており、上述の答弁を行っていた。

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