「1年半キャンプ場を運営してきて、最高に悲しく寂しい午後でした」――。栃木県那須塩原市にある人気キャンプ場のオーナーが、2022年11月14日にツイッターに投稿した写真が拡散されている。
キャンプ場の一角で、利用者が使った黒焦げの石油ストーブが放置され、周囲には灯油タンクやオイルランタンなどが散乱。オーナーは「確実に山火事一歩手前状況の燃え方です」と警鐘を鳴らした。一体、何があったのか。オーナーに話を聞いた。
「頭が真っ白になりました」
被害を訴えたのは、那須塩原市にある「那須高原ITAMUROキャンプ場」のオーナーを務める斎藤剛郎さん(47)。斎藤さんは90年代から同地で営業してきたオートキャンプ場を、事業承継の形で21年に取得。バンガロー(小屋)や宿泊可能なツリーハウスを新設するなどリノベーションを施し、今では口コミで人気のキャンプ場となった。
齋藤さんは22年11月14日に、自身のツイッターで「昨日は、悲しすぎて...。1年半キャンプ場を運営してきて、最高に悲しく寂しい午後でした」と写真を付けて報告した。投稿前日の13日、キャンプ場の利用客から「オーナー、小川に石油ストーブ置いてますか?」と尋ねられた。斎藤さんが急いで小川へ向かうと、そこには点火スイッチなどが黒く焼け焦げた石油ストーブが放置され、さらに周囲には灯油タンク、オイルランタンが投げ捨てられていた。
「最初見たときは、何が起こったのかわかりませんでした。なんでここにストーブが置いてあって、タンクやオイルランタンが放り投げられているんだろうと。頭が真っ白になりました」
齋藤さんは15日、J-CASTニュースの取材に、放置されたストーブなどを目にした際の心境をこう振り返る。ツイートの中で「点火状態で灯油タンクを外したか、何かしら燃えるものが石油ストーブに飛び散ったか...」と燃焼が起きたとみられる状況を推測し、「一億万歩譲っても、確実に山火事一歩手前状況の燃え方です...」と警鐘を鳴らした。現場には上記のほかにも、プラスチック製のフォークやスプーン、客が食べたとみられるご飯、タバコの吸い殻などが放置されていたという。
齋藤さんは投稿の中で「場内火事にならず、お客様が誰も傷つかなかったことが救いです」としつつ、「なんで放置なんだろう...???」「この状況で黙ってお帰りになられたこと大変ショック」と、ストーブなどを放置した利用客に疑問を呈した。齋藤さんは散乱したゴミを片付け、ストーブを撤去したという。
本人は謝罪の意向「反省してもらうのが一番」
ツイートは5000件以上リツイートされ、「怖すぎる...」「どうしてこんなことができるのでしょう」「山火事にならなくてよかった」などの声が集まった。
そうした中、15日午前には斎藤さんのもとに、ストーブなどを放置していた利用客から「出来れば直接謝罪し、ストーブを回収し、ゴミを拾いたい」という旨のショートメッセージが届いた。同客は斎藤さんのツイートを見て、メッセージを送ったという。齋藤さんは「ツイートを見てゴミを取りに来る、という気持ちがあるだけよかったなと。反省してもらうのが一番です」と受け止め、本人には反省を促すよう返信した。
15日現在、栃木県警に被害届は出していないものの、今後同様のケースが起こった場合の対応について、警察担当者に話を聞きたいとした。
齋藤さんは「9割9分9厘のキャンパーの方はマナーを守っています。一部の方のせいでキャンパー全体が悪く思われてしまうので、そうした方が少なくなってくれればいいなと思います」とした。