「AM放送」存廃問題、韓国では一足先に「停波」突入 「音質悪く受信も不便」

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   日本でAMラジオ局の経営環境が厳しさを増す中、韓国ではすでにAMの停波が本格化している。韓国ではAM放送の内容がFMでも同時放送されていることが多く、2021年11月から地方局が相次いでAMを停波。FMを聴くように呼びかけている。

   22年11月8日未明には、ソウルの2局もAMを止めた。現時点では「運用休止」で、半年後に廃局になる。公共放送のKBSは現時点では継続しているが、国外向けを除いて廃止される見通しで、すでにAMは風前のともしびだ。

  • ソウルでもAM放送は風前のともしびだ(写真はイメージ)
    ソウルでもAM放送は風前のともしびだ(写真はイメージ)
  • ソウルでもAM放送は風前のともしびだ(写真はイメージ)

「音質も低く受信が不便だった」AMを「優れた受信環境と音質」のFMに一本化

   AM停波は、放送行政を所轄する「放送通信委員会」が「AMと標準FM機能調整」政策を進めていることを受けた対応だ。AMリスナーが減少し、施設が老朽化していることを受けて「(AMと同じ内容を放送している)標準FMへの代替可能性などを考慮」する内容。「代替」は、FMが安定して送信できていることが前提だ。

   停波の動きが目立ったのが文化放送(MBC)の系列だ。MBCにはソウル以外に全国に16の系列放送局があり、大邱(テグ)の放送局が休止を経て21年11月に停波。22年9月には南部の釜山(プサン)や麗水(ヨス)で休止に入った。11月8日にはソウルでも休止され、半年後には廃局になる予定だ。ソウルのMBCと同じタイミングで、ソウルに本拠地を置く民放のSBSもAMを休止している。MBCは1961年12月、SBSは91年3月にAMラジオを開局。それぞれ約60年、約30年の歴史に幕を下ろす。

   SBSはウェブサイトで、「音質も悪く受信が不便だった」AMを「優れた受信環境と音質」のFMに一本化することで「リスナーの皆様により良いサービスを提供する」と説明している。

   通信社の「ニュース1」によると、残るAM局はMBC(浦項(ポハン)、全州(チョンジュ))、キリスト教系のCBS(ソウル、釜山)、KBS(全国)など。ただ、MBCとCBSは「AM放送を近く整理する予定」で、KBSも国外向けを除いて廃止の方向だと報じている。

日本もAM47社中21社が停波「実証実験」に参加

   AMを取り巻く環境が厳しいのは日本も同様だ。日本民間放送連盟(民放連)は、次回の免許更新のタイミングにあたる23年までに、AMを一部地域で一時的に停止できる「実証実験」のための制度を整え、遅くとも28年までに「AM放送事業者の経営判断によって」AMからのFMへの一本化や、AMとFMの併用を全国的に可能にするように求めている。

   これを受ける形で、20年11月には総務省が実証実験の具体的な案を公表。最初の実証実験は23年11月頃の見通しで、停波の時期は3か月~1年程度を想定している。

   民放AMラジオ全47社でつくる「ワイドFM(FM補完放送)対応端末普及を目指す連絡会」は21年6月、そのうち44社が「2028年秋までにFM局となること」を目指すことを発表。この時点で、47社中21社が実証実験への参加を表明している。この21社のうち14社はAMの親局を停波し、残り7社は親局の送信を続けながら中継局のみ停波して参加する方針だ。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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