プロボクシングのWBC、WBO世界スーパーバンタム級王者スティーブン・フルトン(米国、28)が、世界バンタム級3団体統一王者・井上尚弥(大橋、29)へのライバル心をむき出しにした。
米国のボクシング専門メディア「ボクシングシーン」(WEB版)が2022年11月10日にフルトンのインタビュー記事を公開。井上は間違いなく世界最高のパウンド・フォー・パウンド(PFP=全階級を通じて最強)ファイターだが、フルトンは井上を最高のファイターと呼ぶことを望んでいないと伝えた。
「もし井上からパワーを奪ったら、それでも良い選手だと思うか?」
インタビューの中でフルトンは「井上はいい選手だ」と評価しつつも、「でも井上が世界最高とは言えない」と語った。さらに「もし井上からパワーを奪ったら、それでも良い選手だと思うか?」と、KOの山を築き上げる「モンスター」を皮肉るように挑発した。
フルトンはアマチュアボクシングを経て14年10月にプロデビューした。21年1月に行われたWBO世界スーパーバンタム級タイトル戦で王者アンジェロ・レオ(米国、28)を判定で破り王座獲得。同年11月にWBC世界スーパーバンタム級王者ブランドン・フィゲロア(米国、27)と王座統一戦を行い、判定勝利を収めて2団体統一王者となった。プロ戦績は21戦全勝(8KO)。
米国の権威あるボクシング専門誌「ザ・リング」が設定するスーパーバンタム級のランキングでは王者が空位になっており、フルトンが最上位の1位に君臨。WBA、IBF世界スーパーバンタム級王者ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン、28)が2位にランクされている。
スーパーバンタム級のランキングでは1位にランクされるも、同メディアが設定するPFPランキングの10傑には入っていない。井上は過去にPFPランキング1位に輝いたこともあり、現在は2位につけている。同じ全勝で複数団体を制した両者だが、世界的評価は井上が大きくリードしている。
井上は12月13日に有明アリーナでWBO世界バンタム級王者ポール・バトラー(英国、33)と4団体王座統一戦を予定しており、王座統一に成功すればスーパーバンタム級に上げる可能性が高い。2団体の王座を保持するフルトンは、アフマダリエフとともに井上の将来のライバルとされる。