ハザードランプを点けて車を路上駐車させていたら、路線バスからクラクションを何度も鳴らされて怖かったと、ツイッターで動画が投稿された。
しかし、ネット上では、狭い路地で路駐していたのが悪いとの指摘が多い。バスを運行した関東バス(東京都中野区)は、「通れないよう止めるのはよくない」としながらも、乗務員について「間違っている行動だった」として、車のドライバー側に謝罪したと取材に答えた。
「バスの車体の幅、どんぐらいか分かってんの?」
車の右横にJR中央本線・中野駅行きの路線バスが止まり、バスの男性乗務員が乗降口前に立って、車のドライバーに向き合っている。車のハンドルやメーターが近くに見えることから、このドライバーが夜間にスマホで動画を撮影したらしい。
誰かの怒鳴り声が響いた後、ドライバーは、バスの方を指差して、「ちょっと、下がってくんない?」と乗務員に声をかける。
これに対し、乗務員は、「いや、お前がバックしろよ!」と反論した。すると、車の同乗者とみられる男性が「お前、何だよ、その口の利き方、社員のくせに」と騒ぎ出す。乗務員が右手を出して、「あのさ、いくらこっちがさ、どんだけ注意したと思って。ずーとここにいたってことでしょ。分かってて、ずっとわざといたってことでしょ?」と問いかけると、同乗者らしき男性は、「バカにしてっからだぞ...お前のせいだよ」と罵声を浴びせる。
ドライバーは、クラクションについて、「そんなに鳴らす必要ないんじゃないの?みんな通っていたけど、バスとか」と抗議した。すると、乗務員は、「いやいやいやいや、あのね、じゃあ通ってたバスがあるんだね」と聞き返す。ドライバーは、「知らないけど。車とか通ってたけど」と返すと、乗務員は、こう怒った。
「車が通れるに決まってんだろ! バスの車体の幅、どんぐらいか分かってんの?」
これに対し、ドライバーが「じゃあ、まあいいけど。とりあえず、もう大丈夫」と言うと、乗務員は、「今から...」と話して、バスに乗り込むところで終わっている。
「#あおり運転」とのハッシュタグで拡散を促したが...
この1分ほどの動画は、2022年11月3日未明にツイッターに投稿された。
投稿では、「関東バス」と名指しし、「#あおり運転」とのハッシュタグを付けて拡散を促している。1000件以上リツイートされているが、リプライでは、バスの乗務員を擁護する声が多いようだ。
動画に映っている建物などから場所も特定され、バス停がすぐ先にある狭い路地であることも分かった。こうしたことから、むしろ車の方が通行に支障を生じさせており、すぐに動かさなかったのを注意されても当然といった声が相次いでいる。
関東バスの広報担当者は11月8日、J-CASTニュースの取材に対し、車との間で動画に映ったトラブルがあったことを認めた。
その説明によると、2日の19時30分ごろ、中野区内の一方通行の狭い道路で、西武新宿線・野方駅発JR中野駅行きバスが道路の左側に止まっている車にクラクションを鳴らした。バスが無理してギリギリ車の横を通るぐらいの道幅で、近くに電柱があって通れなかったという。
車のドライバーに対して、「バスが通れないように車を止めるのはよくないことだと思います」としながらも、次のように話した。
「営業所に無線連絡して、そこから警察に連絡を指導している」
「クラクションは、1回長く鳴らし、計2、3回鳴らしたと聞いています。ドライバーが車内にはいないと思って呼び出そうと鳴らしたということですが、間違っている行動でしたので指導しました。バスが通行できないときは、営業所に無線連絡して、営業所から警察に連絡するよう指導しています。クラクションを鳴らせば、口論になってしまいますので、適切だったとは思っていません」
バスの乗務員は、クラクションを鳴らしてもドライバーが車からまったく出てこなかったといい、後続の車が来てクラクションを鳴らされてから、初めて営業所に連絡したという。営業所が警察に連絡するため、車のナンバーを見ようと、乗務員が降りたところ、いないと思ったドライバーが車内にいた。このため、気持ちが熱くなって、動画のような行動に出たという。
乗務員が動画の最後でバスに戻ったのは、営業所から無線連絡が入り、状況を説明するためだったとした。その間に、付近の住民が家から出て来て、車のドライバーに移動するよう伝え、車がバックしたため、バスはそのまま出発したとしている。
この間、バスは現場に10分ぐらい停車していた。車内は、満員ではなく、数人が乗車していたという。当日のうちに、車のドライバーから営業所に電話連絡があり、クラクションを鳴らしたり動画のような言動があったりしたことを謝罪して納得してもらったとしている。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)