慶應の最高意思決定機関「評議員会」 50代経営者でも「最若手」...その錚々たる顔ぶれとは

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   学校法人慶應義塾の最高意思決定機関にあたる「評議員会」のメンバー101人が改選され、2022年11月から新たな任期が始まった。このうち30人いる「卒業生評議員」は、全国に約30万人いる「塾員」と呼ばれる卒業生による選挙で選ばれた。大企業の社長・会長やその経験者が数多く立候補し、「塾員」と呼ばれる卒業生以外の社員を巻き込んだ集票合戦が批判されることもある。

   前回18年と前々回14年は、候補者として名前を連ねたものの、結局は評議員の名簿に載らなかった人がいたとして話題になった。今回も同様の候補者がいるほか、若手経営者や女性経営者も当選。少しずつ顔ぶれが変化しつつある。

  • 4年に1回の評議員選挙では、集票合戦が批判されることもある
    4年に1回の評議員選挙では、集票合戦が批判されることもある
  • 4年に1回の評議員選挙では、集票合戦が批判されることもある

14年には東電・清水氏、18年にはスルガ銀行・岡野氏が...

   評議員には、「推薦評議員」「塾員評議員」「卒業生評議員」「教職員評議員」の4つの区分がある。そのうち「卒業生評議員」の投票が10月3日に締め切られ、10月31日に改選された101人が発表された。選管が発表するのは氏名だけで、どの区分で選ばれたのかは明らかにされない。仮に「卒業生評議員」の枠で落選したとしても、「卒業生評議員」と、前期の評議員会に選ばれた「推薦評議員」が選ぶ「塾員評議員」の枠で救済されることが多い。そのため、「卒業生評議員」の候補者として名前があったにもかかわらず、評議員に選ばれない人は珍しい。たが、14年、18年には、これにあたる人が1人ずついた。

   14年は、原発事故時に東京電力の社長を務めていた清水正孝氏(1968年経済学部卒)。2018年はシェアハウス関連の融資をめぐる問題でスルガ銀行の会長を9月に辞任した岡野光喜氏(1967年経済学部卒)。この2人が立候補や就任を辞退したのか、それとも「卒業生評議員」「塾員評議員」の両方で落選したのかは明らかではない。ただ、所属企業を取り巻く状況が影響したとの見方は根強い。

   今回就任した「第36期」では、60人いた「卒業生評議員」候補者のうち、101人の中に名前がなかったのは1人。名簿の肩書きでは「読売新聞東京本社 社友」の滝鼻卓雄氏(63年法学部政治学科卒)だ。読売新聞東京本社社長や読売巨人軍オーナーを歴任したことで知られる。慶應義塾はJ-CASTニュースの取材に対して、滝鼻氏が「第35期で退任した」と説明するのみで、「辞退」したのか「落選」したのかについては明らかにしなかった。

楽天創業メンバー2人が「SFC初」評議員に

   22年4月1日時点で95人いた第35期評議員のうち、第36期の名簿にいないのは28人。28人の中には商船三井社友の生田正治氏(57年経済学部卒)、キッコーマン名誉会長の茂木友三郎氏(58年法学部政治学科卒)ら、80歳を超えたメンバーが含まれる。滝鼻氏も83歳で、立候補した60人のうち、TECOグループ会長の黄茂雄氏(62年経済学部卒)に次いで年次が古い。読売新聞は東京電力やスルガ銀行ほどの不祥事を抱えているとは言えず、高齢を理由に第35期で退任した可能性もある。だが、そうであれば、なぜ第36期に立候補したのかは明らかではない。

   第36期で新たに評議員になったのは38人。そのうち「卒業生評議員」に立候補した中で最も年次が若いのが楽天グループ常務執行役員チーフウェルビーイングオフィサーの小林正忠氏(94年総合政策学部卒)と、ぐるなび代表取締役社長の杉原章郎氏(同)だ。2人は楽天の創業メンバーで、総合政策学部がある湘南藤沢キャンパス(SFC、神奈川県藤沢市)の1期生。90年のSFC開設以来、卒業生が評議員になるのは初めてだ。2人のような50代メンバーは評議員としては「最若手」だ。公益財団法人国際文化会館理事長の近藤正晃ジェームス氏(90年経済学部卒)も50代。マッキンゼー・アンド・カンパニーのコンサルタントや、ツイッター日本法人代表など異色の経歴で知られる。

   女性メンバーも増えた。一般にも知名度が高いのは日本初の女性宇宙飛行士として知られる東京理科大学特任副会長の向井千秋氏(77年医学部卒)や、渋谷教育学園渋谷中学高等学校校長の高際伊都子氏(89年理工学部卒)、三井住友フィナンシャルグループ取締役執行役専務の工藤禎子氏(87年経済学部卒)らで、そのバックグラウンドも多様だ。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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