ベビーカーに双子を乗せてバスを利用したが、ドアを開けてもらえなかったり、運転手が手伝ってくれなかったりした――元女子バレーボール日本代表選手の大山加奈さん(38)がブログなどでこう訴え、関心を集めている。
大山さんが利用した都営バスでは、2人乗りベビーカーでも乗車可能で、乗務員の補助もあると公式サイトで伝えている。今回の件について、都営バス側の見解を聞いた。
「1台目のバスは、ドアを開けてもらえずに走り去った」
「バスに乗れなくて泣く日が来るなんて...」。大山さんは2022年11月7日、ブログやインスタグラムでこう切り出した。
その投稿によると、バス停で都営バスが来るのを待ち、後ろのドアから乗り込もうとしたところ、ドアを開けてもらえずにバスは走り去ってしまった。大山さんが悲しんでいると、一緒に並んでいた人が「次は、私が運転手さんに言いますから」と声をかけてきたといい、今度来たバスはドアを開けてくれた。
歩道の段差とバスのステップまで大きな溝があり、立ち往生してしまった。しかし、運転手はスルーして手伝ってくれなかったという。乗客の高齢者女性が手伝おうとしてくれたが、重いからと大山さん自身で何とかベビーカーごと持ち上げてバスに乗り込んだ。
そして、目的地に着いたものの、歩道の段差があって降りる方が大変だった。このときも、運転手は手伝ってくれなかったという。先の高齢者女性が手を差し伸べてくれて、大山さんは、何とかバスを降りることができた。
「悲しくて悔しくて...乗客の女性の優しさが沁みて...色々な感情が込み上げてきて涙腺崩壊...」
「迷惑な存在だと思われたことがやはりとても悲しくて...あのバスが走り去る光景思い出すとまた涙が出て来ます...」
以前には、東急バスでも同様なことがあったとして、「どちらの会社も運転手さんは席を離れてはいけないというルールがあるのでしょうか?あるのであれば仕方のないことですがもう少し手を差し伸べてもらえたらありがたいな」とつづっていた。
「手伝いの依頼がなかったが、気持ちを汲み取るべきだった」
大山さんの投稿は、ネット上で大きな反響を集め、様々な意見が寄せられている。
双子用ベビーカーについては、2018年に都営バスが乗車拒否をしたとして問題となり、都が21年6月7日に乗車を認めるようにルール改定している。
都交通局のサイトで、「ベビーカーでの乗車方法」として、ヨコ型二人乗りベビーカーの場合について、「前扉から乗務員に『二人乗りベビーカーです』と声をかけ、中扉から前向きで乗車します」と案内してある。また、「ご自身で乗車できない場合は乗務員が補助しますのでお申し出ください」とも付け加えられている。東急バスでも、「ベビーカーのご利用について」と題してサイト上でお知らせを出し、同様な内容の案内をしている。
大山さんがドアを開けてもらえなかったと訴えたことについて、都交通局の営業課では11月8日、J-CASTニュースの取材に、こう答えた。
「状況を調査中で、詳細は分かっていません。人がいるのが見えていなかった可能性もありますが、バス停を通過するときは最徐行するルールになっています。もし人が見えていたのに通過したなら、問題があります」
次のバスで運転手がスルーしたと指摘したことについては、7日の10時30分ごろに品川区内のバス停であったことだと認めて、こう説明した。
「お客様から乗車を手伝うよう依頼を受けておらず、車内も空いていたので大丈夫だろうと判断したと聞いています。しかし、お手伝いが大前提で、お客様の気持ちを汲み取るべきであり、配慮に欠けていたと思います。乗務員を指導しないといけないと考えており、この点につきましては、お詫びしたいと思っています」
乗務員が手伝うかは状況によるとし、バス停から車両が離れていたり、段差があったりする場合は、ベビーカーを運び入れるのが厳しいので手伝うべきだとしている。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)