月が地球の影に完全に入り込む「皆既月食」が2022年11月8日夜、全国各地で観測された。この日は、天王星が月に隠れる「天王星食」も起きた。
この2つが同時に起きるのはきわめて珍しい。東京・六本木ヒルズ森タワーの屋上展望台「スカイデッキ」で開かれた観測会では、抽選で選ばれた約100人が「激レア」な天体ショーを楽しんだ。
皆既月食は真っ暗ではなく「赤銅(しゃくどう)色」に輝く
日本全国で皆既月食が見られたのは、21年5月26日以来、1年5か月ぶり。次回は25年9月8日だ。18時9分に「部分食」が始まり、19時16分には完全に欠けて「皆既食」の状態に。1時間26分後の20時42分には皆既食が終了して輝きが戻り始め、21時49分に元の丸い形に戻る。
皆既月食の時間帯は、月が「影に完全に入り込む」が、真っ暗になって見えなくなるのではなく、「赤銅(しゃくどう)色」と呼ばれる赤黒い色に輝いた。太陽の光が地球の近くを通る際、大気がレンズの役割を果たして屈折し、波長の長い赤い光だけが月まで届くためだ。大気中のちりの量にも月の色は左右される。ちりが少ないと光が多く大気を通過するため明るいオレンジ色になり、多いと黒っぽくなる。
普段の天王星は「空が十分に暗い場所で目の良い人が見てやっと見えるほど」
東京では、皆既食の間に天王星食が起きた。月の左下にあった天王星が20時41分ごろから21時22分ごろまで月の後ろに隠れた。天王星の明るさは6等級ほどで、国立天文台によると「空が十分に暗い場所で目の良い人が見てやっと見えるほどの明るさ」。満月に近い月による天王星食では月が明るいため観測は困難だが、今回のような皆既月食では「月がたいへん暗くなるため、比較的簡単に天王星を観察することができます」と説明していた。
天王星食は「惑星食」の一種で、日本で皆既食中に惑星食が起こったのは、1580年7月26日の土星食以来442年ぶり。次回は2344年7月26日の土星食だ。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)