新生児が使うおくるみ(スワドル、スワドリング)の安全性が、SNSで議論となっている。
一部のタイプは脚の付け根の関節が外れる恐れがあるとして、複数の医師が警鐘を鳴らしている。懸念を踏まえ、あるメーカーは販売休止を決めた。
発育性股関節形成不全のリスク
新生児に巻いて使うおくるみは、包まれる安心感から睡眠の質が高まる効果があるとされる。出産祝いの贈り物としても人気だ。
体型に添ってしっかりと巻くタイプから、脚回りにゆとりを持たせているタイプまで様々な種類がある。
しかし、注意が必要な作りもあるようだ。整形外科医が2022年11月6日にツイッターで、脚の動きを制限する新生児用衣類は「発育性股関節形成不全」(先天性股関節脱臼)のリスクがあると警鐘を鳴らすと、約6万リツイートと拡散された。投稿には、ベビー用品の販売会社コニーバイエリンが扱う「コニースワドル」の写真が添付されていた。
日本整形外科学会、日本小児整形外科学会によれば、発育性股関節形成不全は脚の付け根の関節が外れる病気だ。新生児が仰向けで寝る際は、両膝と股関節を曲げてM字型に開脚した姿を基本として、自由に脚を動かせる状態にするよう呼びかけている。両脚を外から締めつけて脚が伸ばされるようなきついオムツや洋服は避けるべきとしている。
投稿には、他の医師も賛同を示しており、ヤフーニュース個人でも「『おくるみ』はリスク?それとも赤ちゃんが寝るのを助ける?歴史的な経緯を小児科医が解説」と紹介された。
「安全性のご検討お願いいたします」
コニースワドルをめぐっては、新潟大医学部小児科学教室も注意喚起している。
販売会社に6日、インスタグラムを通じて「親御さんの睡眠を守るためにすごく優しさに溢れた商品だと思います」と理解を示しつつ、「股関節発育不全を引き起こすことがないよう、安全性のご検討お願いいたします」と要望した。
同社は「弊社でも赤ちゃんの股関節の発達に関する内容を十分承知しており、製品開発をする際にもこの点をしっかりと考慮しております」と返信し、生地が非常に薄く伸縮性が高いため、股関節の発達に問題がないと判断したという。
しかし、多くの懸念の声を踏まえて販売を休止するとし、「公の機関を通じて安全性を再確認してから販売を再開する予定です」と伝えている。7日現在、商品公式ページは削除されている。
コニーバイエリンは7日、J-CASTニュースの取材に、コニースワドルについて「西洋で広く使われている手軽なタイプのポケット型ポーチ(Swaddle Cocoon Pouch)をモチーフにして、赤ちゃんが股関節を自由に動かせるよう薄くて伸縮性の高い素材を使用し誕生した製品です」と説明する。安全性を担保するため、長期間のテストを経て制作したという。
不安の声は「一般的なスワドルはあまり伸びない素材で作られるため、このような懸念をされることも当然で自然なことだと思います」と斟酌し、製品の安全さをより訴求すべく追加の再検証を決めた。