ツイッターの主要機能「モーメント」が2022年11月5日以降、更新が止まっているとする指摘が複数寄せられている。
同社を買収したイーロン・マスク氏の人員整理が原因とみられ、ユーザーの間では混乱が広がっている。
トップニュース扱いの情報、実は...
複数のツイートを専用ページにまとめられるモーメントは、日本では16年から始まった。ツイッター社は「1日に数億件ものツイートが飛び交うTwitterで、『いま』起きている話題の出来事を見逃さずに知ることができるのが、モーメントです」と宣伝している。
モーメントは、ツイッター社がアルゴリズムまたは手作業で作成したものと、ユーザーが作成したものに大別できる。
ツイッターの「話題を検索」(もっと探す) 枠などには、ツイッター社や報道機関が作成したモーメントが頻繁に表示される。同枠には、「おすすめ」「トレンド」「ニュース」「スポーツ」「エンターテイメント」タブがあり、それぞれにおすすめの情報として提示される。
しかし、11月5日以降、モーメントが更新されず、古い話題が更新されずにいるとの指摘がユーザー間で相次いでいる。モーメントのツイッターアカウントは、3日を最後に投稿が止まっている。
J-CASTニュースが7日に「ニュース」タブで確認すると、16本のモーメントが推奨されていた。内訳はツイッター社4本、朝日新聞3本、ハフポスト3本、フジテレビ2本、TBS2本、共同通信1本、東洋経済1本。最新は、朝日新聞が11月2日に公開した記事を基に記者の反応をまとめた5日作成のモーメントだった。7日昼ごろ、タイムスタンプは「1時間前」に変更されたが、掲載されている最新ツイートは3日付のものになっている。
最上部の目立つ位置にはツイッター社作成のモーメント「イスラエル総選挙 ネタニヤフ元首相率いる右派勢力がリード」がトップニュース扱いとして表示されている。しかし、これは1日時点の情報で誤解を生む恐れがある。
一方、「このモーメントは自動でツイートを掲載しています」と記載されたモーメントは、7日現在も新たな投稿が加わっていた。
「キュレーションチームはもう存在しません」
モーメントはツイッター社のキュレーションチームが編成している。朝日新聞の22年6月付記事によれば、各メディアから届いたモーメントを「速報性や公平性」に配慮して選ぶと担当者が明かしている。
メディアとの具体的な協業プロセスは不明だが、モーメントの公開当初には16の参加パートナーを公表していた。
日経クロストレンドは10月の記事で、キュレーターを「陰の守り人」と形容し、フェイクニュースやデマ対策への貢献度の高さを評している。ツイッター社もモーメントのガイドラインで、自社の役割を「質の高いコンテンツと背景知識を提供することで、目にしている情報の正確性を利用者が判断できるようにすること」と説明し、「話題性や注目度の高い会話に、幅広い情報源にて真偽が問われている情報が含まれる場合、Twitterが提供する背景情報の情報源を明記します」と宣言している。
ヨーロッパ地域などを担当していたキュレーションチームの元社員は4日、ツイッターで「キュレーションチームはもう存在しません」と解散を明言した。
英BBCも5日、「Twitterのキュレーションチーム全体が解雇されたと伝えられているため、『Explore』(編注:もっと探す)ページには数日前のコンテンツが表示されています」と報じている。モーメントの更新停止は、他国でも起きている事象のようだ。
米テッククランチは同日、イーロン・マスクの大量解雇で完全に排除または大きな打撃を受けた部署の一つにキュレーションチームを挙げ、「(チームは)モーメントタブをキュレーションし、トレンドトピックのセクションをプログラムし、それらのトピックに関するコンテキストを提供し、ライブイベントも扱うなど、Twitterが得意とする多くのことを行っていました。このチームはまた、プラットフォーム上の誤情報との戦いにも取り組みました。マスク氏の最高経営責任者(CEO)就任から7日足らずで、事態を悪化させてしまった」と問題視している。