担任の先生も大喜び
取材に対し小野さんは、「授業参観の際、帰宅後の子供との会話のためにその時の授業風景をスケッチしておいたのがきっかけです」と振り返る。学校では写真撮影が禁じられていたそうで、もらったプリントの裏側にスケッチで子供たちの姿を残すようになった。
子供たちが小学生の頃は参観する保護者も多く、限られた狭い場所から見るため、簡単に手元でメモを取るように描いていたという。グループワークなどで子供たちが向き合う際には「色んな向きの子供たちが描けて楽しかったです」と振り返る。
「描き始めは自分の子を描いて、後はその周囲を時間内に描けるところまで描く感じです。描いてて分かるのは小学生はもちろん、おとなしく授業を聴いているような高校生でもかなり動いていることです。
右手に持ったペンを左手に持ち替えたり、頬杖をついた手を替えたり、ふり向いたりうつぶせになったり...。私が描き終わる前にもう別のポーズになっていることが多く、その一瞬一瞬を記録したいと思って描きました」
スケッチは、40分から50分ほどの授業時間内で描き終える。小野さんによれば、授業が始まって教室が落ち着いてから描き始めるため、実質的な作画時間は30分ほどだという。教室移動や小テストが始まるとクラスの雰囲気が変わるため、そこで描き終えることもあったそうだ。
小野さん家ではいつしか、授業参観でスケッチをとることが当たり前になっており、娘は帰宅時に「描けた?」と言って見に来るようになったという。できた絵を友達や担任の先生にも見せて回り、喜んだ担任の先生は廊下にコピーを掲示したこともあったそうだ。