ホット飲料に「不織布ラベル」何のため? 実は保温効果に違いが...ニーズに応えたアサヒ飲料の工夫

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   今年も迎えた肌寒い季節。人々が防寒対策を急ぐ中、ホット飲料も「厚着」の様相だ。

   アサヒ飲料(東京都墨田区)が今秋から販売している「あったかさ続く十六茶」のペットボトルには、不織布素材で作られたラベルが巻かれている。マスクにも用いられている不織布を一体なんのために、ラベルに使ったのか。ねらいを聞いた。

  • ホット飲料に「不織布ラベル」一体なぜ?
    ホット飲料に「不織布ラベル」一体なぜ?
  • 他の商品と比べると、パッケージが霞んで見えることがわかる
    他の商品と比べると、パッケージが霞んで見えることがわかる
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  • 他の商品と比べると、パッケージが霞んで見えることがわかる

従来品と比べ「1分以上」温かさ持続

   コンビニのホットドリンク売り場に陳列されたペットボトルの数々。緑茶やほうじ茶、紅茶など定番商品が並んだ一角に、一見パッケージが霞んだように見える商品が置かれている。アサヒが2022年9月13日から販売している「あったかさ続く十六茶」だ。

   パッケージが霞んで見えるのは、マスクにも用いられる不織布素材を使用したラベルがペットボトルに巻かれているため。実際にラベルを触るとザラザラしており、ツルツルとした素材の他の飲料のラベルとは、明らかに異なる質感を持っている。

   十六茶と言えば、ハトムギや大麦など16の素材をブレンドしたアサヒの看板商品。緑茶やほうじ茶と違い、カフェインが含まれていないことも特徴だ。冷たいペットボトル版が通年で販売され、秋冬季には毎年ホット版が登場する。

   前年のホット版は「十六茶 ほっと温まる」という商品名だったが、今年は「あったかさ続く~」とした通り、保温性の高さを売りにしている。不織布素材のラベルを巻いたのは、保温性をキープするためだ。

   アサヒグループジャパンの広報担当者は10月31日、J-CASTニュースの取材に「保温性があること、独特な温かな風合いがあること、飲料ラベルとして製造上の適正があることから、不織布素材を採用しました」とラベルの採用経緯を話す。

   実際の保温効果はどれほどのものなのか。アサヒは同商品と保温ラベルのない従来品を対象に、店舗での購入後、11月に東京の室外で持ち歩くことを想定した保温効果の違いを比較。実験の結果、同商品は従来品と比べて、液温40℃以上の温かさが約1.3分長く持続したという。

ホット飲料の「保温性」こだわってきたアサヒ

   なぜ、保温性の高さを打ち出したのだろうか。実は同社の実施した消費者調査の結果、温かい無糖茶を買う客は、飲み物に「温かさが長く続く」ことを求めていることが判明。こうしたニーズを受け、中味が冷めにくい不織布素材のラベルを開発した。

   そして、同社は過去にも「保温性」を売りにしたホット飲料を展開していた。18年9月に秋冬向けとして販売した「ほっとレモン」は、熱伝導率の低い多孔質ポリプロピレンを用いた「保温ラベル」を採用(現在は販売終了)。従来の「ほっとレモン」と比べ、液温を2℃高く保てることを売りにしていた。発売当時のアサヒのニュースリリースによると、ホット飲料に保温ラベルを用いたのは、これが業界初だった。

   それから4年が経ち、今度は「不織布素材」を用いた保温ラベルを導入したアサヒ。担当者は「競合他社もデザインでの情緒的なあたたかさの訴求をしていましたが、機能的には訴求出来ておらず、不織布を採用することでニーズが叶う商品を提供できるのではと考えました」と、「機能的な温かさ」が商品の強みだと話す。

   SNS上では「スゴイ!」「こういうの待ってた!」「初めて見た!」「すぐに冷めてしまうのが残念だったから嬉しい!!」などの声が聞かれている。今後の他商品への導入については「検討中」とした。

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