2冊並べて「18割」ジョークも
一方で、その出版数の多さゆえに、ネット上では「数打てば当たる感がすごい」「こういう決めつけてる本苦手」「結局何が9割なんや...」などと疑問の声も散見されるように。書店で隣り合って置かれた2冊の9割本(人は〇〇が9割)を見て、「人間は18割」だとツッコミを入れる人もいた。
身の回りの数字との向き合い方を記した著書「数字にだまされない本」(日経ビジネス人文庫)で知られるビジネス数学教育家の深沢真太郎氏は22年11月1日、J-CASTニュースの取材に対し、書籍のタイトルに「9割」が頻用される理由を次のように読み解く。
「『9割』とは、ボウリングでいうところの『センターピン』を表現したものではないでしょうか。センターピンさえ倒せばほとんどのピンが倒れるとするならば、それは『物事の本質』を意味します。つまり重要なのは、いかにセンターピンを外さないか、ということです。ビジネス関連の書籍を読む人のほとんどがこのセンターピンを知りたいと思っています。だから制作側は『ほとんど』が自動的に伝わる『9割』という表現を好むのでしょう」
一方で同氏は、データに基づかない「9割」という表現がはらむ問題点も指摘する。
「例えば『◯◯◯が9割』という表現は、言い換えれば『◯◯◯以外にも大事なことが1割はある』ということです。会議でほとんどの人が『YES』と主張していたとしても、もしかしたら『NO』と主張する方が正しい結果を生むこともあります。つまり『9割だから正しい』という思想は極めて危険ということです」
同氏は「厳しいビジネス環境においてはみんなと同じでは競争に勝てない」としつつ、「むしろ『9割本』を疑いながら読み、みんなが『YES』という場面で『NO』の立場をとる方が賢いのではないでしょうか」と投げかけた。