内装は昭和なのに...外観が「サイバーパンクすぎ」 ギャップ話題の老舗銭湯、主人に聞いたその歴史

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   三重県伊賀市の銭湯「一乃湯」の入り口が、「サイバーパンクすぎる」とツイッターで紹介され注目を集めている。昭和の趣を残したうす暗い路地の中で、ピンクと水色のネオン看板が光っている。この様子が、サイエンスフィクション(SF)で描かれる近未来的な建物のようだと話題になった。

   一乃湯は、伊賀上野の城下町にある創業72年の銭湯。J-CASTニュースの取材に対し、3代目主人の中森秀治さん(66)は、ネオン看板は創業時から活躍しているものだと説明する。

  • 写真家のtoshibo(@JIYUKENKYU_jp)さんが撮影した「一乃湯」
    写真家のtoshibo(@JIYUKENKYU_jp)さんが撮影した「一乃湯」
  • 写真家のtoshibo(@JIYUKENKYU_jp)さんが撮影した「一乃湯」
    写真家のtoshibo(@JIYUKENKYU_jp)さんが撮影した「一乃湯」
  • 写真家のtoshibo(@JIYUKENKYU_jp)さんが撮影した「一乃湯」
  • 写真家のtoshibo(@JIYUKENKYU_jp)さんが撮影した「一乃湯」

「アンバランス感がたまりません...!」

   ネオン看板は、本館の手前の石柱門に掲げられている。営業開始時刻になると、温泉マークをかたどったピンクのネオンサインと、「一乃湯」と施設名を表す水色のネオンサインが輝き始める。夜には柔らかなピンクの光が、周囲の建物やレトロな円筒形の郵便ポストをうっすらと照らし出す。

   写真家のtoshibo(@JIYUKENKYU_jp)さんが撮影した写真をきっかけに、ツイッターで大きな注目が集まった。まるでSFの世界のようだとして、「え、これゲームのステージとかじゃないんですか?」「ネオンの近未来感と暖簾の古い感じのアンバランス感がたまりません...!」といった感想が寄せられている。

   一乃湯の中森さんによれば、一乃湯の建物は1926年の昭和元年に建った。建物ができた当時の屋号は「草津湯」だった。ネオンサインは1950年、初代主人・中森直吉さんが同所を買い取り、「一乃湯」を創業した際に設置したという。

「時代は戦後間もなくで復興に日本全体が活気に満ちていた時だと思われます。初代がネオンサインを一乃湯のシンボルとして採用、当時としてもハイカラなもので和風の建物と洋風のネオンサインのミスマッチが目を引いた事でしょう。
令和の時代にこのネオンサインは斬新なデザインで新しく設置された物と見られますが72年前の物です」

建物は国の登録有形文化財に指定

   ネオンの光は、常連客にとってはが目印であり、遠方から足を運ぶ人々にとってはレトロ銭湯のシンボルかつ「インスタ映え」のスポットとしても親しまれているという。

「3代目の自分にとってはこのネオンサインは暖簾のような物です。営業を開始する14時から明るい内にネオンを点灯し、『ゆ』の暖簾をかけます。
夕暮れ時から夜にかけて、辺りをほんのりと紅に染めて行く様子はノスタルジックで自分は好きです」

   「サイバーパンク」な銭湯として紹介され、話題になった一乃湯だが、内装は「昭和レトロ」を売りとしている。中森さんは3代目を引き継いだ15年前、地元の人々はもちろん、県外からも多くの人々が来てほしいと考え、友人に空間コーディネートを依頼したという。

「昭和の建物、ネオン、内装、小物を生かして『昭和レトロ銭湯一乃湯』を観光銭湯として発信を始めました。今は『昭和の豊な暮らし』をテーマに手ぬぐい、風呂敷、下駄、純石鹸などの小物をそろえて銭湯のある暮らし、文化を伝えています。
脱衣室の雰囲気も元々の雰囲気を活かしてゆっくりくつろいでいただく空間を意識してしつらえました」

   一乃湯の本館は本格木造建築で、神社仏閣によくある唐破風の屋根や折り上げ格子天井が特徴だ。入口の石柱門と共に、国の登録有形文化財に指定されている。

   ネオンサインを撮影したtoshiboさんは、取材に対し「夜の外観とはうってかわってレトロな内装でして、昔ながらの面影を残した脱衣所、当時のまま綺麗に残っているお風呂など、素敵なところでした」と感想を述べた。

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