MLB韓国ツアー「ドタキャン騒動」はなぜ起きたのか 現地メディア分析...「誰が見ても惨敗だった」

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   韓国野球委員会(KBO)は2022年10月29日、公式サイトを通じて主催者との契約履行問題などを理由に「MLBワールドツアー コリアシリーズ」を中止すると発表した。

   コリアシリーズは11月11日から韓国・釜山、ソウルで4試合を予定していた。大リーグ選抜チームが韓国を訪れるのは1922年以来100年ぶりになるはずだった。

  • パドレス・金河成選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)
    パドレス・金河成選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)
  • パドレス・金河成選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

「MLBにより重い責任がある」

   「MLBワールドツアー コリアシリーズ」には、韓国出身の大リーガーでパドレスに所属する金河成(キム・ハソン、27)や昨季ア・リーグの本塁打王アルバドール・ペレス(ロイヤルズ、32)らが出場する予定だったことから現地での注目度は高かった。開催まで2週間を切っての突如の中止を受け、地元メディアがツアーを企画したプロモーター、MLBに対して批判的な論調で記事を展開した。

   スポーツメディア「スポーツソウル」(WEB版)は10月31日に「誰が見ても惨敗だったMLBツアー、そもそも不可能なことだった」とのタイトルで記事を公開した。

   記事ではこの興行は大谷翔平(エンゼルス、28)、アーロン・ジャッジ(ヤンキース、30)のような韓国野球ファンにおなじみのスターが訪韓してこそ勝算があったと指摘。そして予定されていた大リーガーの顔ぶれや非現実的な高額なチケットを考慮すると興行の惨敗は明らかだったとした。

   記事によると、韓国球界は数年前から大リーグ選抜を招いてのツアー開催を計画していたが、費用の問題に直面していたという。大リーガーへの高額な出場手当を興行で埋め合わせをしようとすると採算が取れず、大型スポンサーを獲得しない限りツアーは不可能で何度となく計画がとん挫したと伝えた。

   同メディアは別の記事でプロモーターとMLBを強く非難した。「MLBワールドツアー コリアシリーズ」が中止となったのは、MLB側の安逸さとプロモーター側の経験不足が、最悪のシナジー効果を生み出したためだと指摘し、プロモーターを選択したのはMLBであるため、MLBにより重い責任があると主張した。

KBO「MLBに遺憾の意を伝えます」

   スポーツ朝鮮(WEB)は「MLB無責任なワールドツアー 一方的キャンセル」などのタイトルで記事を公開し、ツアーへの出場を予定していた韓国代表の選手らが「被害者」になったと伝えた。

   記事によると、韓国代表選手はレギュラーシーズン後もツアーに備え実践的な練習をしてきたと指摘。ツアー中止前に同メディアが行ったインタビューの中でサムスン・ライオンズの若きエースであるウォン・テイン投手(22)は「体を回復させるための練習をする時期だが、ワールドツアーのために体を作り直している」と語ったという。

   そしてプレーオフに進出しなかった代表選手にとって実戦練習に取り組んだ時間は無駄になったと主張。さらに被害に合った選手はいかなる補償も受けられないとし、これは大リーグの無責任な取り組みが引き起こした惨事であり目に見えないより大きな被害を引き起こしたと伝えた。

   ツアー中止にあたりKBOは公式サイトで「MLBの参加要請に応じて韓国代表チームを構成し、MLBチームと試合を準備してきたKBOは、キャンセルによって国内野球ファンに信頼を守れなかった点、試合を準備してきた選手たちが被った被害などについてMLBに遺憾の意を伝えます」などと表明した。

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