ちむどんどんは本当に駄作だったのか 識者が考える「炎上の理由」と「作品の意義」

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「ちむどんどん」は、何週にもわたって沖縄戦を描く必要はなかった

   沖縄の本土復帰50年にあわせた「ちむどんどん」に対しては、「もっと沖縄戦を扱ってほしい」「もっと米軍基地を扱ってほしい」といった不満も出ていたが、木俣氏はこれらの要素の扱い方の大きさは、それほど問題なかったのではないかと指摘した。

木俣:第15週では沖縄戦の遺骨収集がテーマでした。それもあってか、「不十分ではなかった」とする声があったのも事実です。他にも第6回では賢三の葬儀の列が映るシーンで、米軍機を意識したと思われる「キーン」という飛行機が飛ぶような効果音が挿入されていました。

――そんなシーンがあったんですね!

木俣:沖縄の歴史に関する描写が不十分だと感じた声には、遺骨収集や、最終回間近の第122回で草刈正雄さん演じる沖縄戦の当事者たる男性のエピソードにもっとたくさんの放送回を割くべきだったという声もありました。視聴者の中には「もっとたくさんの情報を与えてくれる作品を見たい」と思っている方々もいます。ただ、「ちむどんどん」は仲間由紀恵さん演じる暢子の母親・優子の人生を描く物語ではなく、戦後生まれの暢子の人生を描く物語ですから、沖縄戦の歴史が物語の一要素に留まるというのは、それほど不自然ではなかったと思います。

――確かに。

木俣:例えば、自分のことに置き換えて考えてみると、夏休み中の8月に親の実家に帰省して、終戦記念日が近いからと祖父から悲惨な従軍経験の話を聞いて、「大変な時代だったんだな」と戦時中に思いを馳せても、その後、毎日そのことばかり考えて人生を歩んでいくことはなかなか出来ません。ただ、時々、聞いた話をフッと思い出すようになったり、それをきっかけに戦争について学ぼうと思うようになったりすることはありえます。だから私は、「ちむどんどん」は何週にもわたって沖縄戦を描く必要はなかったのかなと思います。
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