安倍氏との「密会」なぜ告白? 野田元首相が追悼演説に込めた思い「ストレートには書けなかったけど...」

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「ねじれ国会」の党首討論は「戦う場というよりも、どうやって一致点を見出すか」

   野田氏にとって安倍氏が「最も鮮烈な印象」を残したのが、12年11月14日の党首討論だ。首相だった野田氏が自民党総裁だった安倍氏に対して解散を明言。その後の衆院選で民主党は大敗して下野し、第2次安倍政権の成立に道を開くことになった。野田氏によると「与党と野党第1党の党首同士が、互いの持てるすべてをかけた、火花散らす真剣勝負」だった。それから10年、与野党の合意形成に向けた努力が減っていることを指摘した。当時は、与党の民主党が参院で過半数を取れない「ねじれ国会」で、「野党第1党、第2党の協力も仰がないと物事が進まない」状態。そのため、党首討論は「戦う場というよりも、どうやって一致点を見出すかというところに心を砕いた」。

   だが、「一強多弱」の現状では「なんとなく一気呵成に何か物事を決めてしまう、丁寧さが欠ける、ということになっているんだろうと思うんです」。その一例として挙げたのが国葬だ。野田氏も「自分の人生観に基づいて」参列したが、「ただ、プロセスには問題があったと思います」。具体的には次のように述べた。

「各党が関与した形で協議を進めて、そして総意を作っていくというプロセスがなかったと。やっぱり、国権の最高機関である国会を完全に無視して、政府だけで決めるというやり方には、私はあまりにもちょっと粗雑すぎた、拙速すぎたと思うんです」

   さらに、佐藤栄作氏が吉田茂氏の国葬を行った際の対応を念頭に、

「あのときも、野党の人たちに頭を下げて、出席してくれと。あの大宰相が頭を下げてやってるんですよ。そういうことが全くなかったでしょ?私はこれはやっぱり、もちろんね、(一強)多弱の弱い野党にも責任があるけど、でも、あの佐藤栄作さんだって頭を下げてやったぐらいのことを、なぜ岸田さんはやらないのか、という思いも込めて...。ちょっとこれはストレートに書けなかったんですけど、そういう思いを込めて皇室典範特例法の経緯を書かせていただきました」
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