立憲民主党が今国会から始めた日本維新の会との連携をめぐり、立憲の泉健太代表への風当たりが強くなっている。泉氏は23年1月に始まる通常国会でも連携が続く可能性が高いとの見通しを示す中で、憲法をめぐる立場についても、維新と「実はそんなに差がない」と発言。憲法9条についても、必要であれば国会の憲法審査会で議論すべきだとした。
この発言に、これまで「野党共闘」を進めてきた共産党が反発。志位和夫委員長がツイッターで「憲法をめぐって維新と協力の余地ありと考えているとしたら、とんでもない考え違いというほかない」と非難し、泉氏が「ずいぶん見当違いな認識と批判」だとやりかえす事態に発展している。
「立憲民主党は論憲の党」→批判ツイート相次ぐ
問題の発端になったのは、泉氏が10月21日に共同通信加盟社編集局長会議で行った講演。今国会で8項目の政策分野について維新と連携していることについて、
「続いていく可能性は十分にある。政策課題で共通できる、合意できるのであれば、(年明けの)通常国会においても引き続きやっていきたい」
などと見通しを明らかにした。憲法をめぐる問題にも言及。維新は改憲を掲げる政党だとしながらも、立憲とは「実はそんなに差がない」とした上で、憲法9条の問題では集団的自衛権をフルスペックで認めることを問題視しているとして、「必要であれば憲法審で議論すればよい」などと話した。
その後、発言を伝える記事をツイッターで引用しながら
「立憲民主党は論憲の党。『法律で対応できるのでは』『速やかな憲法改正が必要か』『立法事実が存在するのか』などを丁寧に議論し、安易な改憲論に対しても必要な議論を行っていきます」
とも書き込んだ。立憲の支持層には「論憲」ではなく、議論をせずに現状の憲法を維持する「護憲」を求める人も多く、発言内容やツイートに批判も相次いだ。泉氏は、そういった声にも返信して反論した。
「ハッキリ言います。あなたは色々理屈をつけて改憲したいだけ。自民の憲法審がどんなものか充分分かっているはず」
という声には、
「『改憲は不要と論戦を展開すべきだ』という意見にまで、『改憲したいだけ。けしからん』と攻撃するのですか?」
と応じ、
「立憲という意味を理解していますか?理解していないのなら、代表辞任してください」
という指摘には
「はい。理解し、各地で立憲主義の大切さを訴えております。何か起きたのですか?」
とやり返した。
「異論許さない」批判には「かなり論理の飛躍があるのでは」
この批判に加わる形になったのが共産党だ。志位和夫委員長は10月23日、
「維新の会が『憲法9条改憲の突撃隊』となっていることは明らかであり、もしも立憲代表が憲法をめぐって維新と協力の余地ありと考えているとしたら、とんでもない考え違いというほかない。野党ならば『与党の補完勢力』『改憲の突撃隊』と正面から対決すべきです」
と批判。泉氏はこのツイートを引用リツイートして
「協力の余地?憲法を『議論する』と言ったまでで、協力の余地ありなどとは一言も言っていませんが...。ずいぶん見当違いな認識と批判です」
と反論した。さらに、共産党の姿勢について
「日々住民のために頑張る方々や各議員には素晴らしい方もおられるのですし、敵味方をすぐに色分けし、異論は許さないという考え方こそ改められては」
と苦言を呈した。
この泉氏の指摘には、小池晃書記局長が10月24日の記者会見で改めて反論した。共産党にとって維新は「正面から対決して打ち破っていく相手」。特に憲法については
「改憲の旗振り役、突撃隊の役割を果たしているわけで、この維新と憲法をめぐって協力をする余地など全く存在しない」
と主張した。
泉氏のツイートの「協力の余地ありなどとは一言も言っていません」という反論には、「実はそんなに差がない」という発言を引き合いに、
「これはやっぱり維新とは憲法の問題で協力の余地があると表明したことになりかねないのではないか」
と話した。
さらに、泉氏のツイートの「異論は許さないという考え方こそ改められては」のくだりについて「党の体質を批判しているようにも受け止められる」として見解を問われた小池氏は「かなり論理の飛躍があるのでは」。その理由を
「だって、党の体質ってことと関係ない話じゃないですか。これはこの間、市民と野党の共闘の中で議論を積み重ねてきた中身に基づいて(志位)委員長も発言をしているわけですから、ちょっと筋違いではないかなと思います」
と説明した。
小池氏によると、立憲、維新、社民、共産が共同提出した「通園バス置き去り防止法案」など、個別の政策で協力する可能性は否定しないが、憲法は「野党共闘」の柱であり、別問題だと強調した。
「ことは憲法ですから、これも市民と野党の共闘の...何というか大変な柱ですから、それをめぐる議論なので、あえて一言申し上げさせていただいた。大変危険な議論になりつつあるということを大変危惧をしています」
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)