「フェイク写真が現実になったようだ」 中国民主活動家が指摘した、胡錦涛氏「途中退場劇」の異様

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   中国を代表する現代美術家で人権活動家としても知られる艾未未(アイ・ウェイウェイ)氏(65)が2022年10月24日、東京・丸の内の日本外国特派員協会で記者会見した。

   胡錦濤前国家主席が10月22日の中国共産党大会閉幕式で、突然係員に腕をつかまれた状態で会場を後にした問題にも言及。この出来事で「最もおかしかったこと」として挙げたのが、周辺に座っていた幹部が何の反応も示さなかったことだ。「フェイク写真が現実になったようだ」として、政権中枢が「無慈悲」だと非難した。

  • 日本外国特派員協会で記者会見する艾未未(アイ・ウェイウェイ)氏
    日本外国特派員協会で記者会見する艾未未(アイ・ウェイウェイ)氏
  • 日本外国特派員協会で記者会見する艾未未(アイ・ウェイウェイ)氏

北京五輪メインスタジアム「鳥の巣」で知られる

   艾氏の父親は、著名な詩人の艾青(アイ・チン)。文化大革命で家族ごと強制収容所に送られ、後に名誉回復を受けた。その後、艾氏は北京電影学院に学び、1980~90年代にニューヨークを拠点に活動。北京に戻ってからは、スイスの建築家と共同で北京五輪のメインスタジアム「鳥の巣」の設計にも携わったが、11年には中国当局に拘束されたこともある。15年からドイツを拠点にしている。

   艾氏は今回の退場劇を、1921年の共産党結党から繰り返されてきた権力闘争の一環だとみる。胡氏は艾氏の父親の葬儀にも参列。「心は共産党」だが、「物静かで、合理的な人」だというのが艾氏の評価だ。ただ、世間では「ソフトすぎる」という評判も立っていたという。「私の父は習近平主席の父の同志でもあった。彼らは非常に親密な関係だった」とも。習近平氏の父、習仲勲も文革で激しく攻撃を受けた。

   劉少奇、林彪、彭徳懐といった、失脚して非業の死を遂げた幹部の名前を挙げながら、「果てしない戦いが続いてきたことは、誰もが覚えていることだ」とした。

国営メディア・新華社通信は「体調不良」主張

   胡氏の退場劇で艾氏にとって「最もおかしかったこと」が、周辺に座っていた幹部の様子だ。その異様さを「フェイク写真が現実になったようだ」と表現。次のように話した。

「誰も動かないし、瞬きもしない。中枢の指導者がいかに無慈悲か表している。16億の人口を抱えるこの国が、敬意も個人的感情も友情も示さないような人々に統治されている。ポーカーのように、どんなカードが来ても、皆が同じ顔をしている」

   国営新華社通信は英語版のツイッターで、胡氏の途中退場について「療養期間だったにもかかわらず、党大会への出席を主張した」として、

「会期中に体調が悪くなり、係員が隣の部屋まで付き添った。今は、だいぶ良くなった」

と主張している。

   艾氏は第33回高松宮殿下記念世界文化賞(日本美術協会主催)の彫刻部門を受賞しており、受賞式出席のために17日に来日していた。12月1日には、自伝「千年の歓喜と悲哀 アイ・ウェイウェイ自伝」(KADOKAWA)の出版を予定している。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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