メーカー担当者も「バズり」に驚き
「びっくりしました。私たちはBtoB(企業向け取引)の会社ですので、(一般の)お客様からそういう声をいただくのは、すごく新鮮ですね。面白いな、と思います」
不二精機の営業担当者は10月19日、取材に対し、自社製品がSNSで注目を集めていることへの驚きを語る。SNSでの「バズり」は、想定外だったという。
製品の正式名称は「にぎってPONⅢ」。同社が約30年前から展開する小型おにぎりマシンの3代目になる。炊いたお米を中に入れると、100gの三角おにぎりを毎時1500個のペースで作ることが可能だ。
標準タイプには「ボタン」はなく、取り出し口のセンサーがおにぎりの有無を感知して、自動でおにぎりが作られる仕組みになっている。ただ、顧客の要望に応じて、今回のようなボタン式を製造することも可能だ。価格は1台100万円以上するという。
コンビニやスーパーなどで使われるおにぎりマシンのシェア8割を占める同社。1962年に饅頭・おはぎなどの和菓子を自動で成形する「包あん機」のメーカーとして設立された。70年には包あんの技術を生かし、日本初のおにぎり自動成形機を開発。70年代以降、出店を拡大していくコンビニの工場などで、大型のおにぎりマシンが重宝されるようになった。
しかし、時代の変化とともに新たなニーズも生まれる。中小店舗から「おにぎりを握るのが大変だ」などの声が聞かれるようになり、機器の小型化に乗り出した。今ではおにぎり専門店やうどん店、ホテルのバイキングなどで活用されている。担当者は「おにぎりであれば、ご当地の美味しい具材を自分で詰めて食べていただける。いい考えで採用いただいたのかなと思います」と、今回の採用例を喜ぶ。
「にぎってPON」シリーズはおおよそ10年おきに改良されている。担当者は「さらに大きな具材を詰め込めるような成形方法を実現し、保温性を高めた『にぎってPONⅣ』の開発を考えていきたい」と意気込む。また、「『こういった機能があればいいな』というツイッター上の投稿なども参考にしながら、開発に取り入れていきたいなと考えております」と、一般消費者の声にも耳を傾けたいとした。