立憲民主党の打越さく良参院議員が国会審議で山際大志郎経済再生相に「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)の信者か否かについて質問し、自民党などから批判が出ている。
立憲の泉健太代表は2022年10月21日の定例会見で質問の是非について問われ、「私も驚いた」事例として、過去に自民党議員が公明党議員に対して、創価学会員か否かをただした事例を指摘した。質問については「そういうことを聞かれるべきかどうかというのは、実際の国会の中で判断されていくこと」だとして、直接の評価を避け、批判については「今のご意見は承りました」と応じるにとどめた。
「念のためうかがいますけれども、大臣ご自身はいかがなんでしょうか」
打越氏の質問は10月19日の参院予算委で出た。
「山際大臣は、ご自身の秘書には信者がいた、ということは否定されているんですけども、念のためうかがいますけれども、大臣ご自身はいかがなんでしょうか」
という問いに、山際氏は
「あのー、なかなか信教の自由をですね、公の場で、公人と言えども、そういうことを聞くべきかどうかということは、私は分かりませんけれども、お尋ねでございますので...。私は信者ではございません」
と答弁した。
この質問には、自民党の牧原秀樹衆院議員が
「これは明確な憲法違反で極めて危険なことだと思います。護憲だとか言いながら憲法の柱の1つである基本的人権の尊重を理解できない議員は辞職すべきだと思います」
とツイートするなど、反発が相次いでいた。
「私も驚いたと言うか、『あっ』と思った」
打越氏の質問への認識を問われた泉氏は、「私も驚いたと言うか、『あっ』と思った」事例として、
「自民党の議員さんが、かなり直接的に『あなたは創価学会員なんですか』という質問を3人の閣僚にしている」
と言及。その上で、
「これはかなり直接的に聞いているなぁと...こういうふうに思っていましたね、その議事録を改めて読み返すと。そういうことがあったということも見つつ、基本的には、当然信教の自由というものがあって、そしてひとりひとりは、それに基づいて生活ができるということ、これは原則。あとは公人として、そういうことを聞かれるべきかどうかというのは、実際の国会の中で判断されていくこと」
などと述べた。
「ちょっと矩(のり)を踰(こ)えているのではないか」「注意とかはしないのか」という指摘には、「今のご意見は承りました」と繰り返した。
別の記者は、「ああいう発言をあまり子どもに聞かせちゃいけない」と指摘。さらに、党最高顧問の肩書きを持つ菅直人元首相が、日本維新の会と創設者の橋下徹氏について「第一次大戦後の混乱するドイツで政権を取った当時のヒットラーを思い起こす」と投稿した問題を引き合いに、
「やっぱり立憲って『そういうところ』があるんだなって...。もう2回起こっている。(国会審議で成果があった)いいときこそ、代表として守りも固めないとやられてしまう」
などと認識をただした。泉氏は次のように答え、一転して打越氏の質問に対する問題意識をにじませた。
「そういうところはあると思いますね。やはり党所属議員、不用意な発言というのを、気をつけねばならないと思います。特に人権ということについて日頃から訴えている政党であれば、人権に配慮して発言をすべきだと、これはもう、間違いないことだと思います」
「私は創価学会の会員でございます」「私も同じです」「同じでございます」
泉氏が言及した、自民党議員が公明党議員に対して創価学会員か否かを質問したケースは、少なくとも2回ある。1回目が1993年10月8日の参院予算委。8月には細川護熙氏が首相に就任し、非自民・非共産8党派の連立政権が発足したばかり。今とは違い、自民党は野党で公明党は与党という関係だった。
自民党の下稲葉耕吉参院議員が、連立与党を構成する党の代表者を選出するプロセスについて質問をする中で、公明党と、その支持母体である創価学会の関係にも言及。その中で
「3人の先生方、創価学会との関係について、まず石田大臣からお伺いをいたしたいと思いますが、信徒でございますか」
と質問した。石田幸四郎・総務庁長官は「私は創価学会の会員でございます」と応じ、神崎武法郵政相も「私も同じです」、坂口力労働相は「同じでございます」と続いた。
同様のやり取りは、94年6月17日の参院予算委でもあった。下稲葉氏が
「石田委員長からはお伺いいたしましたので結構でございますが、二見運輸大臣、日笠郵政大臣、森本建設大臣、近江科学技術庁長官、浜四津環境庁長官は創価学会の学会員であるかないか、それだけで結構でございますので、お伺いいたします」
と質問し、二見伸明運輸相が「創価学会員でございます」と答弁した。日笠勝之郵政相、森本晃司建設相、近江巳記夫・科学技術庁長官も「学会員でございます」。浜四津敏子・環境庁長官も「はい、創価学会員でございます」と答えた。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)