バス横転死傷の現場「これより厳しいところ記憶ない」 走行&ドラレコ映像公開の愛好家団体が伝える教訓

来店不要なのでコロナ禍でも安心!顧客満足度1位のサービスとは?

   静岡県小山町の県道「ふじあざみライン」で観光バスが横転し27人が死傷した事故を受け、路線バスを所有する団体が別日に撮影した走行映像を公開した。

   これまでにインターネット上で110万回以上再生され、運転した男性は「これより厳しいところは記憶がありません」と危険性を指摘する。

  • ふじあざみライン(グーグルマップより)
    ふじあざみライン(グーグルマップより)
  • ふじあざみライン(グーグルマップより)

「フェード現象」の可能性

   事故は2022年10月13日に起きた。各報道によれば、36人を乗せた観光バスが、下り坂の右カーブでのり面に乗り上げて横転した。フットブレーキを使いすぎて制御がしづらくなる「フェード現象」が発生した可能性がある。

   バスの愛好家でつくる団体「函嶺自動車交通」は17日、注意喚起を目的にふじあざみラインの走行映像をツイッターで公開した。同団体は路線バスを共同所有し、普段は交通工学に関わる仕事をするメンバーもいる。撮影日は16日10時ごろ、30代の男性が運転し、もう一人のメンバーとともに車を走らせた。

   映像は富士山須走口五合目から始まり、徐々に事故現場に近づいていく。最初は3速で運転するも、途中から急勾配で速度を抑えきれず2速に切り替える。それでも油断すると回転数がオーバーし、警告音が鳴る場面があった。フットブレーキはなるべく使わず、排気ブレーキで速度をコントロールした。

   事故現場までの間、「急な下り坂 ブレーキの過熱に注意」と書かれた看板が2か所に設置されていた。現場に差しかかると勾配が急で意図せず加速していき、現場に到着すると一瞬、上り坂になる場所があった。男性は「(ブレーキが故障した場合)もしあの場所で止まっていなければ、バスはさらに加速し路外に逸脱して斜面から落下したり、対向車に衝突していた可能性が高いと思われます」とレポートしている。

「自分と同乗者の命を守れるのは自分だけ」

   運転した男性はJ-CASTニュースの取材に、「バスでいろいろな坂を下っていますが、バスが通るような道路で、かつあれだけの長さがある坂で、これより厳しいところは記憶がありません」と感想を伝えた。

   事故のリスクを感じた点を「一番は勾配が急であることなのですが、そのほかに、勾配の変化が不安定で速度のコントロールが難しいこと、一方で勾配が十分に緩くなる地点が数キロに渡って全く無いこと、道幅が狭く路肩がほぼ無いこと、緊急待避所が無いことなども恐ろしいポイントでした」と振り返る。

   教訓として、次のように呼びかけた。

「特に山道を運転する際はなによりも安全を優先し、自車が安全に走行できる速度を見極めて走るようにしたいです。道路を走っていると、周りの車の流れだったり、移動のスケジュールだったり、後続車に煽られたりと、怖いと思いながらスピードを上げたくなることもありますが、自分と同乗者の命を守れるのは自分だけだということを肝に銘じて走行するべきだと思います」

   一方、事故現場となった県道は連日のように危険性が報じられ、走行映像を視聴したツイッターユーザーからは恐怖を感じたとする反応も目立つが、男性は「今までも多数のバスが事故なく走行していた区間です。ゆっくりと走行していて、車両に重大な故障がなければ、安全に走行できる道です」と補足している。

姉妹サイト