「どうも、最強の城です」――日本三名城の1つ熊本城のツイートが大きな注目を集めている。これまでほとんど「つぶやき」をしてこなかった公式アカウントが2022年10月17日、突然自己紹介を始めたのだ。ユーザーからは「し、城が喋った!!」「自己紹介をする城が居た」などと驚きの声が広がっている。リツイートは1万件、「いいね」は8万2000件を超える大きな反響を呼んだ。
いったいなぜ、唐突にイメチェンしたのか。19日、運営する熊本城総合事務所に取材した。
テレビ番組の「最強の城」ランキングで1位に
公式ツイッターアカウントは21年2月に開設されて以来、あまり頻繁につぶやいてこなかった。ここ最近は、関係者のツイートをリツイートしたり、インスタグラムの投稿をシェアしたりすることが中心だった。しかし今回「つぶやき始めます」と宣言した。
2日後の19日にはさっそく「おはようございます。人類、起きれただけでえらい。水曜日乗り切りましょう」などと挨拶ツイートを開始。こうした投稿を受けて、ツイッターでは「熊本城に自我発生してて草」「熊本城のツイート面白すぎる笑笑」などと話題になっている。
なぜツイッターの運用方法を改めたのか。取材に対し、熊本城総合事務所は次のように説明する。
「熊本城がテレビ番組『最強の城 総選挙』で第1位に選出され、全国的に注目を浴びることとなったことから、これを機に"最強の城"というキーワードを使った情報発信を行っていきたいという思いがありました。
加えて、昨今の国内外の新型コロナウイルス感染症の収束傾向に伴い、水際対策の緩和や全国旅行支援等により、熊本城来園者の大幅な回復も見込まれるため、ツイッターのさらなる活用で誘客につなげることを目的に始めた次第です」
9月26日にテレビ朝日系で放送された「歴史の専門家が選ぶ 難攻不落!最強の城総選挙」では、歴史の専門家が選んだ「最強の城」がランキング形式で発表された。熊本城は1位に選ばれ、番組公式ツイッターでは「超やりすぎの防衛システム」「まさに難攻不落」などと紹介されている。
この放送を受け、同日のツイッターには「#城総選挙」「熊本城1位」などの関連単語がトレンド入りを果たすなど大きな注目を集めた。
「予想以上に反響があり正直驚いています」
事務所は、熊本城が「最強」だと誇る魅力について、次のように述べる。
「熊本城の魅力といえば何と言っても『石垣』です。上に向かって強く反り返る石垣は『武者返し』として有名です。20mを超えるような高石垣や、石垣に囲まれた何度も折れ曲がる通路が随所にあり、さらに石垣上には本来、櫓や櫓門が設けられていて、鉄壁の防御を誇っていました。熊本城は実戦を経験した城でもあり、明治10年の西南戦争では50日余りに及ぶ籠城戦を耐え抜き、政府軍を勝利に導きました」
しかし2016年、最大震度 7 を2度観測した「熊本地震」が発生した。熊本城も甚大な被害を受けており、現在は完全復旧に向けた工事が続けられている。事務所は「完了までは長い年月を要しますが、今後とも温かいご支援のほどよろしくお願いします」と呼びかける。
ツイッターでも冒頭のツイートに対し「故郷のシンボルとして立派に居続けてくれ」「あの勇姿が甦る事を信じております」などと応援する声が多く寄せられている。
事務所は、「もっと熊本城を身近に感じてもらえるように、熊本城の日常部分について(日々の賑わいの様子や桜・紅葉の様子など)も投稿していきたい」と意気込む。ツイッターでは、特に若い人々に興味を持ってもらいたいという。インスタグラムの投稿の共有も続ける予定だ。
つぶやきを始めてからフォロワー数は約1万人から3万人に増えたという。こうした反響については、「予想以上に反響があり正直驚いています。これだけ注目されることもないのでありがたいです」と受け止めた。