楓くんはベルマーレの「選手」だった
実は助けられた楓くんは、ただの湘南ベルマーレのサポーターではない。ベルマーレの「選手」なのだ。
実際にクラブ公式サイトのトップチーム選手一覧ページを覗くと、東京五輪U-24代表で活躍したGK谷晃生選手や元日本代表のMF米本拓司選手ら主力選手の中に、「47 小野楓」の名前が刻まれている。
10月12日に11歳の誕生日を迎えた楓くんは、長期の治療が必要な小児慢性疾病を抱えている。
湘南はNPO法人Being ALIVE Japan(東京都世田谷区)が実施する、長期療養児がスポーツチームの一員として活動する「TEAMMATES事業」に19年から参画している。めぐみさんは「病気によってできなくなったこともありますが、今できることを楽しく頑張ってもらいたい」という思いで応募。楓くんは同事業の3人目として、22年4月に湘南への「入団」を果たした。
同クラブの選手には一人ひとり漢字四文字の「キャッチフレーズ」がついているが、楓くんにも「新緑乃楓」(しんりょくのかえで)というキャッチフレーズが与えられた。楓くんは試合前のイベントブースを手伝ったり、選手と一緒に試合勝利後のスタジアム挨拶や「勝利のダンス」を行ったりと、様々な活動をしている。月に1回、チームの練習に参加することもある。
楓くんを救助した小松さんは当初、楓くんが「選手」だとは知らず、そのことを後から湘南サポーターの友人に教えてもらったという。自身も年に数回、湘南に行く機会があるとし、その際は「病気と闘い、頑張っている楓くんを応援したい」とした。
楓くんの契約は今シーズンまで。めぐみさんは「卒団後もベルマーレの応援を精一杯していきます。来年以降もおそらくTEAMMATES活動による入団者がいると思いますので、その入団選手の応援もしたいです」とした。
(J-CASTニュース記者 佐藤庄之介)