「対戦相手だろうと、何も関係ありません」
「当たり前の事をしただけです。目の前で倒れて苦しんでいるのは、対戦相手だろうと、何も関係ありません」
13日、J-CASTニュースの取材にこう話したのは、当日、試合のボランティアとして活動していたFC東京サポーターの小松久仁さん。福島市のスポーツボランティア団体「うつくしまスポーツルーターズ」の理事を務め、応援するFC東京でも長年ボランティア活動をしてきた。
当時、小松さんはスタジアムでのボランティア活動を終え、ボランティアの待機テントに戻るところだった。その際、近くのトイレで転んでいる楓くんを発見した。すぐに駆け寄り声をかけたが、よほど痛みが強かったのか「声を出すのもやっとの状態」だったという。
至急、他のボランティアスタッフに、医務室と警備員に連絡するよう依頼。小松さんは楓くんから、名前や同行者、痛い箇所などを聞いていた。そこにたまたま看護師夫婦が通りかかったため、怪我の状態を確認してもらった。その後、楓くんのお父さんと車椅子を持参した警備担当者が駆けつけ、医務室へと搬送した。
楓くんの怪我は「本当に心配でした」と話す小松さん。軽傷だったと知り「元気に帰れたとの事で一安心しました」と胸を撫で下ろした。
福島県いわき市在住の小松さん。2000年代初めからFC東京を応援してきたが、11年3月11日の東日本大震災で東京から来たボランティアの人々に心を打たれ、FC東京のボランティア活動に加わった。16年から「うつくしまスポーツルーターズ」の会員となり、現在は理事として関東・東北エリアのボランティアを担当。19年からは、いわきFC(現J3所属)のボランティアとしても活動している。
小松さんは「サッカーに限らず、スポーツ全般で今回と同様の事があると思っております。何かあっても対応出来るように、救急救命講習なども受講しております」と話す。今回の救助で「少しでもお役に立てたことを嬉しく思います」としつつ、「同じサッカーサポーター、ボランティアとして、当然の事をしたと思っております」と話した。